「旅の始まり」 初めての「イタリア人」のつくる「イタリア家庭料理」

下宿のコワイおばさんには参ったが、

 

とてもよかったコトが一つだけあった。

 

 

それは彼女が現役のコックだったってコト。

 

 

 

私が学校に行っている昼間はトラットリア(食堂)で働いている、と

 

もう一人の留学生スイス人のコーネリアが教えてくれた。

 

 

いつもいつもおびえながら台所で食事を取っていたので

(おばさんが怖くて)

 

本来の私が

 

彼女の作る料理を

 

普通に

 

食べていたら

 

 

もっといろいろな事を感じながら食べていたと思う。

 

実際は慣れない外国生活と言葉が不自由だったこと、

 

コワイ下宿のおばさんに、三行半を頂戴した夫のことがあって

 

 

いつもいつも不安な中で暮らしてた。

 

 

 

おいしそうな料理を出されても、

 

余り感激できなかった自分がいた。

 

前菜、パスタ、メイン、野菜の付け合わせ、パン。

 

 

とおばさん手作り料理は

シンプルではあるがフルコースで出てきていた。

 

 

今考えるとあれはおいしかったんだと思う。

 

色々変わった料理が出てきて、

初めて見るもの食べるものばかりだったような気がする。

 

日本のイタリア料理屋では決して出てこない料理だった。

 

はじめてたべる、イタリアの家庭料理だ!

 

 

おばさんの料理を見て一番驚いたのは

パスタのゆで方!

 

 

パスタといったらたっぷりのお湯でゆでるのが当たり前なのに

 

コーネリアと私の二人分のパスタをゆでるのに

 

 

おばさんはちっちゃな寸胴鍋(直径15㎝ほどの)で

 

しかもスパゲッティを

 

ボキット二つに折るではないか!

 

 

ありゃ~~~そんなことしていいの?

お湯もそれっぽっち!?

(本当にけちなんだこのおばさんとつくづく思ったが)

 

そしてそのお湯に塩を山のように入れる。

 

 

びっくり仰天。

 

しかしトマトソースや野菜のソース、

余り覚えてないが

色々バラエティに富んだソースでその少量のお湯でゆでた麺のおいしいこと!

 

 

おばさんには色々不満ばかりだったが、

 

そのおばさんは一度として同じ料理をださなかった。(ように思う)

 

 

本当に残念だ。

 

言葉が話せないなりに、何かもっと食らいついて聞けばよかったと今思う。。

でもその時はそのとき。

 

イタリア家庭料理の扉を開いた!と今だから言える。

 

彼女が作ってくれた料理の中で私が初期の講習会でよくやった定番料理がある。

※じゃが芋とキャベツのサラダだ。

(※YouTube アサクラCHANNELVOL2で再現しています、見てね)

 

これを透明なボールにどさっと出された時は、

 

素朴な料理だな~と思ったが

食べてみると

どうやって味がついているのか?

 

見るとキャベツとじゃが芋があるだけで、

塩味だけ?というわけでもなさそうだし。

 

その味がどうしてこういう味になるのか?

コワイおばさんに聞くことが出来なかった。

 

 

そしてずっと経った後、

そのじゃがいもとキャベツサラダの美味しさのなぞが解けることになる。

 

 

次号に続く