レストランでの修行も
だんだん慣れてきて
前菜部の同僚の二人の男子とも仲良くやれるようになってきた。
彼らやシェフと魚の下処理、
野菜の下処理は楽しく、毎日勉強になる。
同僚の一人、
マルコは金髪で背も高くイタリア人には見えない。
聞くと、出身はオーストラリア国境の
トリエステ出身という。
彼はとにかく、料理が好き!オーラで毎日がキラキラ✨。
お客さんが来る前までの下ごしらえの時間をとても謳歌している。
時間に余裕があると、
自分が食べたい、自分が作ってみたい
レストランの仕込みには全く関係ない料理、
たとえば、ブリオッシュを酵母から起こして焼いてみたり、
賄いに珍しい郷土料理を作ってくれたりと、
他の人が「こなし」でやることも
彼は楽しんでいる。
またそういう時のマルコは実験顔になっている。
仕事しながら実験をしている、余裕の調理男子だ。
そんな余裕どこから来るのか?と。
必死にシェフの命令についていくのがやっとのわたしとは雲泥の差だ。
彼はわたしより10近く年下だったので、
2026年の今、彼は50歳ぐらいだろうか。
今頃どこかでおいしいレストランをオープンしているに違いない。
間違いない!
もう一人、同僚ニック(名前を急に思い出した)は、
ユダヤ系オーストラリア人。
特殊な歴史を歩んできた人なのだろうとは思ったが
その辺り、突っ込んでは聞けなかった。
彼はとても温厚で、親切で、ジェントルマン。
教え方も丁寧で、わかり易く、
しかしここぞってときは、容赦なかった。
よく怒られた。
他の人にはない厳しさがあった。
ある日、こんなことがあった。
賄用のピッツアの仕込みを任された。
イーストをボウルに入れ水を入れ、
わたしは指を突っ込んでくるくるかき混ぜた。
それを見たニックは鬼の形相になり、
いけません!っとこっぴどく怒られた。
ここはどこだと思ってるんですか!とかなんとか言われたと思う。
その時、わたしは人生で初めて「品性」ということに考えさせられた。
材料を直接指でかき混ぜちゃえば簡単、手っ取り早い!と
染みついた品性のかけらもないわたしの所作は、
このレストランではNGだということだ。
ここにいる調理人の所作はみな美しい。
切り方も、野菜の洗い方も、肉や魚の扱い方も切り方も、
冷蔵庫へのしまい方も、何もかも!
美しい!
丁寧!
わたしのその所作は、自分のしみったれた根性とリンクしている。
ニックに怒られてよくよく恥ずかしくなった。
人としての品性は、そういうこともひっくるめてすべてが料理にも現れる。
一流はそこが違う!
そして一流レストランで学んだことのもう一つ大事なこと。
厨房・キッチンの美しさだ。
焦げ付いている鍋などは一つもない。
キッチン台からレンジフード、調理器具、
床、何もかもぴっかぴかだ。
毎度毎度、自分の担当が終わると、
しっかりきれいにすべてを掃除してから帰る。
大掃除のピッコロバージョンを毎夜毎夜していると言ったらわかりやすいか。
全員が帰ると、
大掃除でもしたかのような、どこもかしこもぴかぴかだ。
お客さんのいるところは当たり前、
お客さんが見えない裏がどれだけきれいかは?
その人の品性が出る。
わたしは、一流にいて一番学になったところは、
料理でも、オリーブオイルのことにでもない。
一番は、厨房や材料に対しての「リスペクト」だったのではと、
今になって思う。
次号に続く
ニックは鬼のような面相になり、
REIKO,それはダメだ!
指を突っ込んでかき混ぜるなんて
作っていた。
身体全体から発していたとニック(名前思い出した!)