出会い

どのぐらい日数が経ってからだったろう、

 

 

 

 

ナポリのオーガニックフェアから

 

 

何日後、何か月後にベネヴェントに行くことになったのか?

 

 

 

 

いまとなってはまったく思い出せない。

 

 

 

 

ただ、

 

 

 

すぐでもなければ、

 

 

 

かなり経ってからというわけでもないような気がする。

 

 

オーガニックフェアがいつだったのかがまったく思い出せない。

 

 

 

 

ジョバンナさんは長そでのジャケットを着ていたので、

 

冬の終わりだったのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

その日は春だったような気がする。

 

わたしは、ジョバンナさんの畑に行くことになった。

 

 

 

 

あの例のオトコと行くと、

 

 

いろいろ面倒なのと、

 

 

 

本当に話したいことを話せない可能性があるので、

 

ジョバンナさんとちゃんと話さなければならないので、

 

 

 

 

オトコは車を出すよ、

 

とは言ってくれたが同行をやんわりと断った。

 

 

 

 

 

一人でベネヴェントに行くことにした。

 

畑見学と生産者に会う、は

 

 

ある意味私にとって真剣勝負なのだ。

 

 

 

畑を見るには

 

午前中の方がいいので、

 

 

 

 

時間を逆算し、何時に最寄り駅に着けばいいか、

 

いつものように段どり、

 

前泊して万全な体制で臨もうと、気合を入れて出発した。

 

 

 

 

その日は駅に着いてから宿を見つけりゃいいやと

 

 

ベネヴェントが大きな街だろうからとタカをくくって良く調べずに

 

電車に乗る。

 

 

 

 

鈍行列車で2時間近くかかった。

 

 

はじめて降りる駅、

 

 

 

凱旋門もある旧市街は

 

 

古代に栄え富んだ証しというのがわかるが、

 

 

 

 

駅についてみると

 

旧市街からかなり外れているではないか!

 

 

 

 

薄暗くなっており駅前は薄ぼけた街灯がついているだけで

 

 

ホテルらしきものは見えない。

 

 

 

 

念のためガイドブック・地球の歩き方を持ってきてはいたが、

 

情報はごくわずかだ。

 

 

ちょっと不安になったのを覚えている。

 

 

 

宿の手配は着いてからと思っていた駅そばに

 

 

ホテルがない!(やばい)

 

 

 

その辺りに歩いている人は目つきが怪しく柄が悪く、

 

 

怖い~~~

 

 

 

 

 

駅周辺は危険、というのがイタリアの常識なので、

 

 

その辺の人に聞くのは危険すぎるので、

 

 

しょうがない

 

ジョバンナさんに聞くしかないなと、

 

 

 

泊まれるホテルを紹介してもらおうと電話をした。

 

 

 

ずいぶんコールしてやっと電話に出た。

 

しかし年配のオトコの声だ。

 

 

 

「なんじゃね?」と

 

明らかに年寄りのオトコの声。

 

 

 

 

わたし「明日お邪魔する予定の日本人のレイコと申しますがジョバンナさんは居ますか?」

 

 

おじいちゃん「ジョバンナは居ないよ」

 

 

わたし「え!いないって」

 

 

おじいじゃん「〇×〇□■〇~~~~」

 

 

わたし「え?なんですって、もう一回言ってもらえますか?」

 

 

おじいちゃん「待ってて今から迎えに行くから」

 

 

わたし「えーーーそれはだめです、約束は明日だから」

 

 

   「ホテル教えてください」

 

 

 

おじいちゃん「そこでまってんしゃい」

 

 

のようなことを言うと、

 

 

ガチャっと電話を切った。

 

 

 

 

 

え~~

 

 

どうしよう、約束は明日なのにジョバンナさんがいないってどゆこと!?

 

 

 

そしてじいちゃんが迎えに来ようとしている。

 

 

 

いいのかな~~

 

 

 

 

結構待った気がする。

 

 

 

 

やっと

 

 

 

 

一台の薄汚れた紺色のFiat のPanndaが

 

 

すごい勢いでこちらに来る。

 

 

急ブレーキでわたしの前に停まった。

 

 

 

 

それは漫画のようなシーンだった。

 

 

 

 

 

中から白髪頭の端正な顔立ちの初老のオトコが降りでてきた。

 

 

いかにも「お百姓さん」という感じのおじいちゃんだ。

 

 

 

 

 

お互い目が合うと、

 

 

 

おじいちゃんはにっこり笑って、「シニョーラ・レイコですか?」  

 

わたし「そうでございますよ」と

 

 

 

笑顔であいさつを交わし、

 

 

 

「さっ車に乗って」と、

 

 

有無を言わさず車に乗せられ

 

 

 

 

わたしはおじいちゃんちに向かうことになるのである。

 

 

 

 

次号に続く