イタリアのオトコ

オリーブオイルへの疑問、頭に電球が灯ってしばらくして

 

とある日。

 

 

民宿には定休日はもちろんないが

雇われ人は週休一日、

私はお客さんが全くない日で何もない時には休みをもらった。

 

 

その日私は一人で街に遊びに行ったのだが

行きはフランコに車で街まで送ってもらった。

 

 

 

 

帰りは数日前の豪雨でがけ崩れが起き、

バスが出ていないことにバス停に行って初めて気づいた。

 

 

民宿のフランコに電話しようとも思ったが、

 

どういうわけかその時は行ける所まで歩いてみようと思った。

 

 

帰りしなに見えるナポリ湾、

そしてソレント半島、

カプリ島が絶景で

 

それを眺めながらなら退屈しないだろうと安易に思ったのだ。

 

 

車でならそうでもないが、

ずっと山道なので

 

まともに歩けば2時間はかかるだろう。

 

 

てくてく歩いていたのであるが、

 

登りの山道、坂道になり相当疲れ、

 

電話したくても公衆電話も、

 

その当時はもちろん携帯もないので

 

 

しょうがない、

 

 

意を決してヒッチハイクでもやってみるか、と。

 

根性なしなのです。

(後からフランコにこっぴどく怒られましたが)

 

 

ナポリ郊外といってもここは超田舎で運転している人をなにげに見ていても

 

おんぼろ車におじちゃんやおばちゃんのドライバーも多く、

誰かしら止まってくれるだろう、

危険もないだろう

 

 

どこかに連れ去られるなんてことも無いだろう、と。

 

 

親指を立てて、手を伸ばして『ストップ!』と声に出しながら

ドライバーを目で追うが、

 

 

だれも止まってくれない。

 

 

外国人、しかも東洋人だし、

 

しかたないか~~~~
(こっちが怪しまれてる)

 

とあきらめながらてくてく歩く歩く。

 

休みながらその都度、ヒッチハイクを試みるが

 

 

全然だめ!

 

 

そしてもうだめだ歩けない!

 

 

ずっと道端に座りながら手だけでヒッチハイクサインを出していたら

なんと一台のチンクエチェント(FIAT超ミニサイズ車)が止まってくれた!

 

 

『やったぞ~~~』

 

ドライバーはしかも若いおにいさん!

 

 

おにいさん「どうしたの?」

 

私「土砂崩れでバスが走ってなくて歩ってるのよ~~○○まで行きたいの」

 

 

というと、おにいさん親切!「どうぞ」

 

 

と乗せてくれた。

 

 

 

かなり古いボロのチンクエチェントが

どすんどすんと今にもエンストしそうだ、

大丈夫かな~と思いながらも

 

 

よく見ると車の後ろにワンコちゃんも乗ってる。

黒いミニチュアダックスフント!

 

 

載せて貰いながら内心、ワンコちゃんを飼う人だもん悪い人じゃないはず。と

内心おっかなびっくり。

 

 

私はは自己紹介でもしましょうかと提案、

「私は日本人、名前はレイコです」というと

 

 

彼は笑いながら

「そのようだね~わかるよ日本人にしかみえないよ~(笑)」

 

 

彼は、私が滞在している農家民宿のある場所とは

山を挟んでの反対の街ソレントに住んでおり、

 

 

やばりがけ崩れで道が通れず遠回りをして家に帰るところだそうだ。

 

 

 

私は

「料理の勉強をしてる、その先の農家民宿で働いている」などなど

 

べらべら話した後

 

 

おにいさんも自己紹介をしてくれたのだが

ソレントでなんとオリーブ農園をしているとのこと!

 

 

ひゃ~~~

 

亡くなったおじいちゃんの後を継ぎ一人でオリーブ栽培をし

オリーブオイルを作ってるんだそうだ。

 

 

私その時とっさに

 

「オリーブオイルのことをもっと知りたいの今度あなたのオリーブ農園に遊びにいってもいい?」

 

 

と言うと

おにいちゃん「もちろんいいよ」だって。

 

 

料理も得意でイタリア料理・ナポリ料理の話題にも花が咲き

楽しいドライブ!もあっという間、

 

 

すぐ目的地についてしまい、残念~

 

 

 

しかし、おにいさんは紙のきれっぱしに電話番号を書いてくれ

「来る時は電話してね」

 

とてもsimpatico(かんじのいい人)だ!

 

 

私は「必ず行くから!」といい、二人とも笑顔で別れた

 

 

 

彼の名はクラウディオ。

 

私のそれからの人生に影響を与える人となるとは

 

今この時は知る良しもなかった。

 

 

次号に続く