初めての休日

だんだんレストランにも慣れ、

 

初めての休みがやってきた。

 

はっきりと記憶にないが

たしか月曜日がレストランの定休日だったように思う。

 

 

初めての休み!

明日は休み!

 

 

そして

いつまで寝てても誰にも何も言われない日!

 

30代前半なので

いくらでも寝れる年頃だ。

 

 

外国人向け、あっちこっちイタリア国内だけでなく

外国のレストランを渡り歩くコック用に

 

寮のようなものがレストランの至近距離にあるらしいが、

 

 

そんなところは恐ろしくて(不潔そうで)寝れそうもないので、

別に部屋を間借りした。

 

 

間借りは間借りでも、

大家さんが出入りする玄関とは違っていたので、

深夜帰りでも気兼ねく過ごせた。

 

 

玄関が違う、つまり

今回がイタリアで生活をし始めてから、

初めての一人暮らしと言ってもいい。

(そのほかは全部人の家の間借りか農家民宿)

 

 

休みの日に何をするなんて

もちろん決めてない。

 

寝て、起きて、またうだうだ、そしてまた寝て、

とあっという間に夕方が来たような記憶。

 

 

部屋にはキッチンは付いていない。

毎日のほとんど、

昼と夜とレストランの賄いがでるので

 

キッチン付きの高い部屋は諦め、

なしの寝室、シャワートイレだけの部屋だ。

 

 

寝室は広めで、

出窓があり、高台なのでそこからの眺望がよく

気に入って決めた部屋だ。

 

 

うだうだした最初の休み、

やっと夕方ぐらいに起きだし、

 

冷蔵庫はあったので

買い置きの果物(すももやももやバナナ)を

かじりながら、ノートの整理をしなけりゃ!

 

と大事なことを思い出す。

 

これまで、レストランから帰宅するとメモしておいた

料理ノートに、

 

自分が作った毎日変わるストゥッツキーノ(アミューズ)や

見たものの調理の下処理、食べたもの、すべての記録のメモに、

きれいに書き直したり、書き足したり、

 

一週間の料理修行の記録のノート書きを完成させる。

 

 

これは農家民宿の時から

習慣にしていたことで、

 

今回はレストラン用に少し大きめのノートを新調し、

書き始めたものだ。

 

記憶をたどり、あーだった、こーだったな、

とシェフや前菜チームのマルコともう一人のコック(名前が思い出せない)

から教えてもらったことなどを書き記したものだ。

 

夕方になり頭がやっとはっきりしたころに

このメモを完成させる。

 

この時間がものすごく好きだった!

夢中で我を忘れ、レストランの記憶をたどる。

 

見る、聞く、嗅ぐ、触る、味わう、

五感をフルにし、人は学ぶのだな、と今だから言える。

あの時の私、しっかり全身で五感で感じたことを吸収していた。

 

 

あっという間に夜が来て、

また明日も仕事か~~~と思うと

憂鬱ではあったが、

(やっとレストランで働けることの幸運さはどこかに・・・・)

 

 

この貴重な一週間に一度の休み、

料理の振り返り以外、

 

何にも考えないで過ごす。

 

 

頭を空っぽにして過ごす、

これもまた大事、と今になって思う。

 

 

いまそんな日はあるのか?

とあの時を思い出し、ハッとする(笑)

 

 

次号に続く