〝わたし、オリーブオイル屋になります!〟

電球?が、ぴか~~~っと光った瞬間

 

 

それは、

 

●これまでくそまずいオリーブオイルを食べさせられていた

●日本にはまともなオリーブオイルはほとんどない
●ほんものは真逆のすばらしい植物性オイル
●いままでの植物性オイルとは使い方の概念が全く違う

●日本人はそれを知らない

●知れば私以外の日本人もかならず喜ぶ

 

が一緒くたに頭の中に駆け巡った瞬間でもあった。

 

その時、私の目の前に、

 

自分のやるべきことが見えだした!

 

 

それまでは、なんとなしに漂着したようなイタリア。

 

料理を学んで将来、何かの役には立つだろう、

 

 

とぼんやりと思っていた。

 

しかし、

いま自分にできることの骨格が見えてきた!

 

 

そうなったら日本向けに輸入?

 

運んで販売するべくオリーブオイルを探さなきゃ!

そう思うのに時間はかからなかった。

 

 

どうしたらいいのか?

 

どうしたらそれに見合うものが探せるのか?

 

 

取りあえず、〝よさそうなオイル〟をみつくろうところから始めるのに、

 

いつも頼りにしているナポリ市内のあの自然食品店か!

 

 

と例のおかみのいるあの店にまた行ってみた。

 

 

その日はマクロランチを食べがてら

 

お店に行ってみると、たいそうな人だかり!

 

 

みな、日替わり定食を頼んでる。

 

 

自然食品店且つ、マクロビオティックの店で

 

日本料理風の定食が食べられる。

 

 

 

その日は車麩のカツレツがメインだったと記憶している。

 

 

味噌汁は別料金だというのにちょっと驚いたので

よく覚えている。

 

味噌汁は別料金かー

 

わかってないなこの店。

 

 

味噌汁がつかないマクロ定食なんてありえないのに。

 

 

まあ予算もそんなにないので味噌汁はがまんがまん。

 

 

私は定食を頼み、

 

お盆に抱えテーブルを見回すとほぼ満席!

 

どうしよう~~と思っていると、

 

 

一人の中年の男がこちらを手招きしているではないか。

 

 

こっちにおいでよ、席空いてるよ、と。

 

 

わたしは、ほいほいと、どうもどうもと、あいさつし、

隣に座ると、

 

 

その男、

 

「あれ~~味噌汁飲まないの、きみ日本人でしょう?」

「日本人なら味噌汁飲まなきゃ~」

 

「僕のあげるよ~~~」

 

 

と、何この男なれなれしい~~~と思いながら

 

結構ですと言っても、

 

どうぞどうぞとしつこく周りの人も見ており

めんどっちいので

 

ありがたくいただくことにした。

 

 

しかし今でも覚えてる!

 

そのみそ汁の味の薄いこと薄いこと!

 

 

これは味噌汁じゃねーーーーーー

ミソスープだ!

 

 

申し訳程度に入った味噌、

ほとんどがお湯!(ぎゃ~~~)

 

それに乾燥若芽がちょびっと浮いてる程度。

 

とまあ、忘れられないナポリの味噌汁の味だったのだが、

 

 

私は食べながら、その目の前の男の顔を見ながら、

 

あそうだ!私はオリーブオイルを探しにここに来たんだ!

を思い出し、

 

 

この男、なんか知らないかな。

 

その男にも聞いみることにした。

 

 

ワタシ「イタリア産のほんものオリーブオイルを探してるんですけど」

   「おじさん、作ってる人、いいオイル、知らない?」

 

男「え~オリーブオイル!僕たちイタリア人にとって世界に誇れる産物オリーブオイルのことなら 何でも聞きなさい」

 「きみ~日本人なのにいいところに目を付けたね~」

 

ワタシ「わたし、オリーブオイル屋になるんです!」

 

と口から出た。

 

 

言いながら、そうか、私はオリーブオイル屋になるってことなんだ。

そうかそうか。

 

妙に自分で納得しながら

 

その男に食らいついて話をする

 

 

男 「僕の親戚に〇〇〇で作っている人がいるから、今度見に行ってみる?」

 

ワタシ(心の中で)え~~いきなり!見つかるかも!

 

 

私は今までの出来事をこれこれしかじかざっくりと話し、

 

なるほどね~と男は納得してくれた。

 

 

「じゃあ、きみ~~これから僕についてきなさい」と言うではないか。

 

 

ワタシ「そんな会ったばかりの人についていってはだめってママに言われてる」

 

とイタリア語で返したが、

 

 

男笑いながら、

 

「心配しなくていいよ、僕は怪しいもんじゃあないよ~」と

 

 

ワタシ(心の中で)それにしても変な人相でないし、身なりもきちんといているし、

大丈夫か、オリーブオイルのこともっと知りたいし。

 

 

と私はその男についていった。

 

(本当の日本のおっかさんがそれを知ったらぶったまげるだろうけど、

もう私、大人だし・・・と思いながら・・・・)

 

 

歩いて歩いて、どこ行くのかと思ったら、

 

ナポリ大学に中に入っていくではないか。

 

 

あれ~~大学の先生かな(というような雰囲気でもおかしくない、ジェントルマンの風貌でもあった)

 

 

そしてどんどん、大学中を迷うことなくガッツガッツと大股で歩くその男、

 

 

そしてある教室に入ると、

円形教室では各帽をかぶった男女学生が沢山!

 

 

「卒業式だ!」

 

男は、その中の女の子とハグし、おめでとうと言っている。

 

 

隣の家の娘の卒業式なんだそうだ。

 

そして卒業式が始まり、私もそこに同席し

 

 

終わると、男はまたさっそうとそこを去り、

「さ、こっち」と

 

 

ほぼ命令形で後を追うようにその男に私はついていったのだった。

 

 

 

  次号に続く