オリーブオイル探し

オトコの家で、

 

みんなの前であんなこと言っちゃって。

 

 

心の中ではそんなことが本当にできるのか?

 

と自分の口から出たことに疑問を持ちつつ、

 

 

 

しかしやるんだ、という気持ちも確かに胸の中にある。

 

 

『オリーブオイル屋になる!

 

いや、そんなことホントに出来んの?』

 

初期は、

 

 

その二つの葛藤であったような気がする。

 

 

 

しかしわたしは例のオトコに宣言しちゃったのが運のツキ

どんどん事が運ばれていく。

 

 

 

イタリア滞在も一年以上が経過し、

 

 

 

(元)オットと二人で農業で稼いだお金は全部わたしにあげる、ってことで、

 

懐具合も以前より改善し、

 

 

可能性と視野が広がり時間に余裕もできた。

 

 

 

 

例のナポリオトコは、とっても親切で、

 

自分の生まれ故郷のオリーブ畑を持つ知人の家に連れてってくれるという。

 

 

 

ある日の休日、

 

 

その畑に行くことになる。

 

 

 

 

その地はサレルノといい、

 

現在に時を戻すと、

 

アンチョヴィの工房がある地区!

 

 

 

コスティエーラアマルフィターナ(アマルフィ海岸)の

 

最南端。

 

 

 

その一帯は、

 

 

海は漁業、

 

山はオリーブ栽培が盛んな地区で風光明媚な美しい都市。

 

 

 

連れていかれたところは中心部からかなり外れた郊外。

 

こんもりとした山にオリーブの木が等間隔に植えられ、

 

 

 

遠くからみると、

 

はげ山に点々とオリーブの木が点在している。

 

 

周りはぜーんぶオリーブ畑

 

 

私にはうってつけのところだ。

(と勝手にその時はそう思う)

 

 

オリーブ畑を見るとワクワクが止まらない!

 

いきなりいいオリーブが見つかるのかもしれない。

 

 

 

つくる人はどんな人でどんな味のオリーブオイルなんだろうと、

 

 

道中、胸が高鳴った。

 

 

 

到着すると、

 

オトコの親戚という家に連れていかれた。

 

 

 

親戚のオトコとあいさつすると、

 

さらに別な施設に連れていかれ

 

 

 

大勢の人たちがせわしなく働いている事務所に到着。

 

 

 

オトコと、親戚のオトコ、事務所の人たち、

 

なにかしゃべっているが、

 

わたしのことを説明しているのだろう。

 

 

 

はじめは盛り上がっていたオトコと親戚と、その事務所の人たち。

 

 

しかし、みるみるトーンダウンし、

 

顔が曇り、首を横に振り、暗い顔になっていく。

 

 

 

いったい何が起こったのか?

 

 

 

オトコは説明をせずに、わたしを外へ促し、

 

車に戻った。

 

 

 

オトコが車を発進させてしばらくすると、

 

また別のオリーブを探そう。

 

 

 

ここはだめそうだ。

 

 

というではないか。

 

 

 

なんで?

 

わたしは味もみていないし、私はあの人たちと何も話していない!?

 

 

 

オイルがないのか?

 

 

 

 

結局は事務所(オリーブオイルメーカーだった)の面々は

 

 

風貌、どうみても子供にしか見えない(30歳)私を

 

全く相手にせず、冗談はよしてくださいな、

 

 

とかなんとか言われたに違いない。

 

 

 

イタリアのオリーブオイルを日本に輸入するって、

 

そのオトコはシンプルに伝えたようだが

 

 

 

全く相手にされなかったいうことが分かった。

 

 

 

帰りの車は二人とも無言、葬式の様だった

 

 

ナポリから2時間近くかけて遠出したが

 

無駄足だった。

 

 

 

オトコは、またきっといいところがあるよ、

 

と励ましてくれたが、

 

 

 

 

どうやらこのオトコ、もしかしたら見当違いのことしてるのではないか、

 

とわたしはうすうす思い始め、

 

 

 

やはり人には頼らず、

 

 

自力で探さなければ、と、

 

 

家に帰りベットにあおむけになり、

 

 

 

 

 

どうすりゃいいんだ、と、

 

また途方に暮れたのであった。

 

 

 

次号に続く