交通事故と結婚式と砂浴

すっかりサルデーニャの生活にも慣れ

 

民宿業の一日もパターン化しており、

 

また家族とも喧嘩するぐらいの仲にもなり、

家族の一員のようになった私。

 

 

9月を過ぎても暑さがまったく緩まないある日、

次男がいよいよ結婚するという。

 

 

日取りが決まったので

サンドロに『レイコも結婚式に行くんだよ!』

 

 

えー---

それは楽しみ!!!

 

家族の一大イベントに参加できるとは何ともラッキー。

 

イタリアの結婚式ってどんなんだろう?

その日を指折数えて待った私でR。

 

 

ずいぶん離れたところが会場だというのが式当日分かった。

お嫁さんの実家で結婚式をするのがこの島の流儀だそうだ。

 

私は式の模様を撮影するカメラマンの車に乗らされ出発。

 

そのカメラマンが話好きで、

はじめっからしゃべりまくる。

 

そうこうしていると、

 

どー---んと

対向車とぶつかってしまった!

 

 

ぎゃ~~~~

交通事故だ!

 

 

これから仕事せにゃならんのにこのカメラマン。

 

車の前部がへこんだが、

そのまま式場に行った(笑)

 

 

皆にビックリされたが

とりあえず、

式に参列し厳かな式が始まった。

 

はじめて教会内でのカトリックにのっとった式は

非常に厳格・真面目で、

 

新郎新婦の表情も硬く、

こちらも厳粛な気持ちにさせられた。

 

しかし教会から出てくると一変!

 

お嫁ちゃんのロベルタは普段あまり笑わないのだが

この時は満面の笑み。

 

よかったよかった。

婿の次男も背が高くイケメンなので二人ともとってもお似合いのカップル。

 

 

結婚式はいいね~

みんな笑顔で。

しあわせオーラで関係各所全部ハートのオーラで満たされているんだもの。

 

 

披露宴はそこからほど近いレストランに移動し

だだっぴろい宴会場にものすごい人だ!

 

何人ぐらいいただろう

200人以上はいたと思う。

 

 

そして何がすごいかって、

 

料理の品数!

そして披露宴の時間の長さ!

 

 

料理は、

アンティパスト(前菜)の前のアミューズ(ストゥッティキーノ)が数種、

次いでアンティパストも次から次へ。

 

なかなか終わらない。

 

 

一人一人個別盛りなので

その量たるもの!

 

 

海のものを中心に、

豪華絢爛な料理が次から次へと運ばれてくる。

 

プリモのパスタも3種類はサーブされた。

そしてメインはミックスミートグリル。

 

豚、牛、羊肉の炭火焼きの盛り合わせ。

 

も、もう無理―――っ

殺す気か!と思う量だった。

 

 

ドルチェもウエディングケーキの小分けとその他数種。

フルーツや焼き菓子など。

 

全部食べられなかったのがぐやじぃいいいいい

 

 

陽が落ち始めた16時ぐらいに始まり、

終わったのは22時ですから。

 

 

みんなよく飲んで食べてしゃべった!

いよいよ帰れる!と思ったら、

 

 

まだ帰らないよと長女のベッティが言う。

 

 

は?どゆこと?

 

 

みなダンスホールのようなところに移動し

音楽が流れ始め、

 

そして老いも若きも手に手を取り合い

自然に踊りが始まった。

 

腹がはちきれそうなのでちょうどいい腹ごなしだな~と

朦朧とした私だったが、

 

私は踊れないので、壁の花でいいや。

 

 

しかし早く帰ろうよ~っ~~~お願~~~~い。

内心、眠いしもう勘弁してくれ、早く帰りたい!と。

 

 

しかしみな楽しそうだ。

これがメインイベントか?というほど皆が楽しそうだ。

 

私も踊れたらどんなに楽しいんだろうな~、と半分朦朧としているところに

 

つかつかと一人の背の高いイケメンが近づいてくる。

え、なになに?

 

なんとそのオトコ、踊りましょうと

誘うではないか!

 

いやいや~無理無理~~ですぅ~~~~

ご冗談を。

 

 

社交ダンスなんて一度も踊ったことないんだから

恥かくから踊りたくない!とは

 

まさか言いませんでしたが、

しつこく断ったが、

 

大丈夫、と言われ

 

しぶしぶ手をつないで踊りましたよ。

 

 

そ、そしたら!

す、すごい、そのオトコ。

 

う、うまいのなんの!

 

自慢じゃないが、

本当に一度も踊ったことのない社交ダンス。

 

このオトコのリードのお蔭ですい~すい~~~~と

滑らかに体が動くじゃないの!

 

 

踊りがうまいってすごい!
リードするってすごい!

そして社交ダンスってなんて楽しいの!

 

そして、自分も基本を知って踊れればもっと楽しいに違いない!と

その後ナポリに帰り、踊り教室に通ちゃったもんね♫

 

 

結局、

昼間の悪夢、

交通事故はすっ飛んで、すっかり忘れて踊りまくった。

 

そして全てが終わって帰宅したのは何時だったのだろう。

翌日は遅くまで寝ててokをもらってたので

 

ここに来て初めて寝坊した。

 

 

その数日後、

来ました!むち打ちが。

 

 

首の後ろがおかしい。

や、やばい。

 

 

病院に行き、

たいしたことはないが様子を見ましょうと、

経過をみることになった。

 

民宿のお母さんアンナには病院に付き添ってもらい

民宿業のさなか、家族には迷惑かけてしまった。

 

 

事故の後遺症で

すっきりしない日が続くのだが

 

 

そんな悶々としたある日、

 

一枚のFAXが日本から届いた。

結婚前に勤めていた612のたなかれいこさんからだ!

 

この片田舎にFAXが届いたのも超びっくりしたが、

その送り主がたなかれいこさんだったというのにも驚いた。

 

 

その後電話で話すことが出来

いまのむち打ちの現状を打ち明けたところ

 

海の近くなら毎日浜辺に行き寝て砂浴をするといいと、

アドバイスしてもらった。

 

 

半信半疑だったが、

毎日民宿の近くの浜辺に行き

 

昼食後の昼寝は浜辺で過ごした。

 

 

そうこうしているうちに

 

気がつくと、

すっきりしない鈍痛と気分は解消し、

知らず知らず治っているではないか!

 

 

砂浴ってすごい!を初めて実感した。

海の砂にそんな力があるとは。

 

 

お父さんアンジェロと一緒に砂浴の帰りに

オリーブ畑にオリーブの様子を見に出かけた。

 

 

その日もものすごい暑さで

なんと40℃だという。

 

気温を聞いて一気に暑さがどっと身体を覆うように降りかかる

ものすごい暑さだ!

 

 

オリーブは枝をしなわせ緑の実がたわわに

風に揺れている。

 

 

その日の太陽は夕方だというのに容赦ない。

 

まぶしすぎるサルデーニャの灼熱地獄の中で

そのしなるオリーブを見上げ、

 

なんて生命力の強い植物なのだろうオリーブって。

 

私は、

このオリーブからとれるオイルを、

日本に伝えるって決めてたんだ。

 

そうだそうだ。

 

バカンスシーズンも終わる9月終わりになり

我に返った。

 

 

この地を去る日がだんだん近づいてきた。

 

 

次号に続く