2日目からは
かなりリラックスしてレストランに行ったように思う。
そうだ、やはり初日はな~んにも知らないので、
怖い!不安!心配!
この3種の悪想念が自分を襲った。
まだ何もやっていない内から
このネガティブ想念にやられてしまっていた。
そりゃそうだよね、
何も知らないところ、かなり無謀なことに挑んだんだから。
しかしこの3種の悪想念がとんでもないってのは
生きていくうちにだんだんわかったいく。
始めはこの3つに覆いかぶされるが、
やってみると
そうでもないことが多かったように思う。
だから3つの想いが出てきたら、
それはないよ!と今なら言える。
2日目以降のレストランは初日より、
よーーーくレストラン内部が目に入ってきた。
コック以外にレストランで働いている人が
大勢いる!
サロン担当の料理を運ぶスタッフ。
イタリア語でCameriere(カメリエーレ)という。
客席は80席だそうで、カメリエーレも5~6人いる。
さすがにカメリエーレは全員イタリア人だ。
またソムリエというのもいて、
これがいかにもーーーーーっていう
イタリアオトコ。
ちょっとあっち系も入ったちょい悪男!
このオトコ、どうやってVIPにワインの説明をするんじゃろ?
と全く想像が出来ず不思議でならない。
しかし、
カメリエーレも、ソムリエも、
基本みな、親切で感じがいい。
みなよくしてくれる!!!
いじわるはいない!
厨房を一歩出ると、
クリーニング室なんてのもある。
洗い物を一手にクリーニングするおばちゃんがいる。
レストランの卓上テーブルの大クロス、個別の食事用クロス、
レストランの上はミニホテルになっているらしいので
シールやタオルなどなど、
クリーニング屋に一手に任せるより、
自前でやったほうが手っ取り早い?安上がりなのか?
これには驚いた!さすが三ツ星。
キッチンで私は相変わらず、
さすがに『なす』は数日分仕込んだので、
昨日と同じ小魚トリッリアの処理や鯛の処理、
シェフとペアになり、基本連日シェフの小間使いだ。
毎日毎日、山盛りの魚、
山盛りの野菜が届いてそれの処理。
単純作業が何分も何時間も続く午前中。
単純作業中は、
シェフがしゃべり始めるとそれも楽しい。
もちろん、食にまつわるおしゃべりだ。
なるほど~なるほど~と勉強になるなる!
シェフはベルギー人で世界各国を渡り歩いてきた
出来るオトコだ。
三ツ星に導いたのも彼と言っていい、らしい。
またシェフだけでなく
そこにいるコック全員が、イタリア国内はもちろん、
スペインのレストランが注目され始めており、
スペインのレストランから渡ってきたコックも多い。
なるほどね~
一所に留まるのではなく、渡り歩くのか!
いろいろな見聞を見聞きし、経験を積むのだな、
広く見る、ということは大事なことなのだ、と
みんなの経歴を知り、しみじみ思った。
私がここにたどり着く前に
南イタリアの農家民宿を回っていたのとおんなじではないか!
家庭料理とレストラン料理と差は大きいが、
スタンダードパターンを、
自分もしてるのか?と
妙に納得した。
イタリア人や外国人スタッフとはすぐに気心が知れ、
仲良くなれたのだが、、、、
数名いる日本人コックたちは相変わらず私とは目も合わせようとしない。
話すきっかけ、なんかないかな~
と頭の中はぐるぐるするが、
難しい。
ひろしくん以外はまったくもって口をつぐんでいる。
そして突然、その日はやって来た。
ひろしくんが新しいレストランが見つかり
ここを去るというのだ。
えーーーー
ショックーーーーーーーーーッ
私が初めてこの街に来たときに、
たまたま出逢ったひろし君の計らいがあり、
私はこのレストランで働けることになった、
と思っている。
一緒にいられたのはたった数週間だった、
彼がここにいてくれた数週間が少しでもずれていたらと思うと。。。。
今の私はまた違ったものになっていたかもしれない。
ほんの一瞬目の前にやってくる幸運が、
人生には幾度かある。
次号に続く