たどたどしいけど流ちょうなイタリア語を話す
この小男はどう見てもイタリア人じゃない。
この男は何?
そんなことを一瞬、頭に浮かべながら、
彼の質問を遮るように、
緊張がMaxに達した自分を抑えるように
自分の思いのたけを機関銃のように吐き出した。
わたしは日本からイタリア料理の勉強で来たが、
各地の農家民宿で学ぶうちに、
オリーブオイルの凄さにぶったまげて、
日本にあるオリーブオイルに疑問を持った。
そしてその理由を知り、
イタリアにある本当のオリーブオイルを日本に広げることを
仕事にすると決め、
もうすでに輸入するオイルも決まっている。
その前に、プロの料理人がどのようにオリーブオイルを使いこなすのか、
それを見ずして日本には帰れない。
例の雑誌でアルフォンソ夫妻を見て、
私の行くべき修業先はココしかない!と天から降ってきた。
だからここに来ました。
私はコックではなく日本では自然食のケイタリングの仕事をし
もちろん料理は作ってはいたが
調理師としての基礎はない。
その後有機農業を4年経験した、
なんとか日本に帰る前にここで働かせてくれ。
ところであなた誰?
と
ここまで息もつかずに一気に話した。
シェフのルイスは
少し微笑みながら聞いていたように記憶している。
ふむふむと言いながら、私が言い終わると
「僕はこのレストランのシェフで
雑誌にでていたのはこのレストランのオーナ夫妻だよ」
「僕が厨房を任されてるわけ」
「レイコ、働くのはいいけど
女性、雇ったことないんだよね」
「君が想像している以上にきついよ、仕事、出来る?」
「朝早くから晩遅くまで、耐えられる?」
私は、
「はい!もちのろん!」
そして「私はコックでないのでお給料はいりません。
厨房内で修業をさせていただければ十分です」
と入りたい一心で懇願した。
シェフ・ルイス、腕組みして
う~~~~ん
彼は困っていた。
自分は雇ってもいいが、オーナーが何というか?
どうだろう、と言う感じだった。
そして
僕の一存では決められないので、
オーナーに相談するという。
連絡するから電話番号教えて。
と、
ここまで時間にすると20分間ほどであったろうか。
話し合いは終わり、
連絡待ちになった。
ほぼ、間違いない手ごたえではあったが、
雑誌のオーナーさん、やさしそうだったが、
どう判断するか?
生身を見ていないのでなんともわからない。
そこからどのように家路に着いたか、
まったく覚えてない。
シェフのたどたどしいイタリア語だが流ちょうなイタリア語の
音だけが頭にリフレインする。。。。
次号に続く