ダイヤモンドでなくウンチだった

いよいよ出発の日が来た。

朝起きると、ちょっと嬉しい。今日で日本に帰れる!

今回はオイルのストーリーのみで細部にわたっての説明はしていない。
いろいろあったのです~~(涙)

それは番外編として書きたいと思う。
今日はとりあえず最終回ってことで。

その日はやってきたのです。帰国の日が。
風呂にはほとんど入ってません、街のにおいもございません、

日本語もちょびっとだけ。

会津・発送のコマツがくれる電話だけ。
日本語が話したい~~~

今日でその日も最後!

朝起きて娘のバルバラのベットで寝ていた私はきれいに部屋を整え、掃除もして
ゴミもぜ~んぶまとめて

スーツケースは前の晩にもう準備済み!

下へ降ります。

アントネッラはもちろんもう起きて昼の準備をしてました。

しかしぶすっとしてる、なんか変!
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表情でわかります?ぶすっとしてます。

こんな表情を見たのは初めて、私なんか悪いことしたかな~

『レイコ今日の昼ごはんはニョッキよ』

しばらくニョッキをこねてる彼女、それを私は見ていてしばらくすると

『今朝起きたらガチョウが一羽いなくなってたのよ』

食べる為でなくペットで飼っている4羽のガチョウのうち一番きれいな白いやつがいなくなったそうだ。
狐にやられたんだろうと。

20羽飼ってた卵用の鶏もぜ~んぶ狐に前にやられたそうで、
相次ぐ難にがっかりしていたのだった。

ん・・・

慰める言葉も無い。

しかし彼女は気を取り直し

『今日はレイコの出発の日だから昼はニョッキにしたわよ』

『電車は1時半だから早めのお昼にしましょ』
といつになく手間のかかる昼ごはんを用意してくれている彼女に

ワタクシ、内心とても嬉しい。

ニョッキは小麦粉にジャガイモをつぶしたものを加えて団子をつくり湯がいて
ソースをからめて食べるイタリアの家庭料理だ。

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テーブルの上に板を敷いてその上で直接団子を作る。
じゃがいもを蒸して皮をむいて粉と混ぜる。

このジャガイモはアントネッラの畑で取れたものだそうで

『レイコ、これね皮を土に埋めてできたジャガイモなのよ。』

と笑いながらいう。

ワタクシ

『え?』
『ジャガイモの皮で?』

アントネッラ

『そうそう中身はもちろん食べたのよ、残った皮ね』
『私もねちょっとやってみるか、ってね。もしかしたら、って実験よ』

そして彼女

『イタリアの有名な歌手○○○って知ってる?』

ワタクシ
『知らないなぁ~』と首をかしげる

『有名な歌手でその持ち歌で好きなのがあってね~
○○○~って題名の歌があるんだけど(○○○は覚えてないワタクシ)』

『その一節にダイヤモンドは光り輝き美しいが何も生み出さない—-メルダは土になってタネを蒔くと芽が出る~~イノチが宿る~♪とあるのよね』

『そこが私好きなのよ~』とアントネッラ。

メルダ、とは日本語に直すと‘ウンチ‘なんだけどもっとお下劣な表現で
はっきりいうと‘糞‘。

‘糞‘と漢字で書くと日本語的に品行方正ですが(どこが!)
‘クソ‘とカタカナで書くともっと近いニュアンス。

そういう意味。

そうダイヤモンドは光り輝くけどイノチは宿らない、ウンチは汚いけどイノチを生み出す、ということ。

アントネッラは

『私はダイヤモンドじゃなくっていいのよ、メルダのようにイノチのあるものを生み出せるようなヒトになりたいのよレイコ』

私は一瞬、目が点になる・・・・

ダイヤモンド!? じゃ…無くって… メルダ…?

私の過去ブログ『ダイヤモンドの原石!』という題名でバルバラとアックアサンタとの出会いを書いた。

彼らのオリーブ畑の素晴らしさに興奮し
しかしよく検証すると出来上がった彼らのオリーブはかなり改善の余地が有り
これからたくさんの課題があると思った。

しかしそれらがクリアできればかなりよい品質の自然栽培のオリーブオイルが出来るに違いないと。

そういう思いでオリーブ畑も含めて彼らのことをダイヤモンドの原石だ!と思い
初めて訪問した3月に帰国してブログに記した。

しかしアントネッラの口からダイヤモンドでなく!という言葉を聞いたときに

そして私はメルダのような・・・という言葉…

そうか・・・高価で光り輝くダイヤモンドでなくメルダか・・・・

私は一人で大笑いしてしまった!

そうだよ、私もあなたと同じ!
イノチのある作物やものを作りたい!そういう人になれたらいいね!っと。

本当にこの人は本物の人だ!何が大切なことかをわかっている人。

ものづくりは本当に大変だけれども、ものすごく楽しい。

食べ物だったらイノチの宿ったもの、
モノだたったら魂の宿ったもの、
そういうものが人の血となり肉となり、そして精神の安らぎになったりする。

『そうだね!私も同感、一緒にイノチあるものをこれからも作っていこうね!』

私は嬉しくって嬉しくってしょうがなかった。

今年はたとえ完璧なオリーブオイルにはならないかもしれないが
しかし彼女を支えることでイノチのある本物のオリーブオイルが世に出る。

そしてそれを食べた人は身体も心も喜ぶホンモノのオリーブオイル。

どうしても今年・初回はがんばってこれを日本で広げる!

私は心新たに決意した。

しかし、皮のみを土に植えて芋が出来た、その芋でニョッキとはなんと素晴らしい~
ゴミは減るしお金も節約できるし、なんとエコなの!?

『よくそういうことを考え付いたよね?』とワタクシがいうと、

『ちょっと実験してみたのよ~~』ハハハとアントネッラ。

普通は考えつかない!絶対考えないよなぁ~~~

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ニョッキが出来上がった。
写真をとる私にちょっと待ってて、と庭から花を摘んできて~~~

こういうことをする彼女なのです。

女傑・大女!ダイヤモンドの輝きには全く興味が無い彼女ですが、本当に心はとてもピュアで繊細です。
ナチュラルな美しさは大好きなのです。

ニョッキを仕込んで二人でアックアサンタに水汲みに行こうとワタクシが提案しました。

アントネッラの家のすぐ近くにはイタリアでも珍しい湧き水があります。
一家はその湧き水を飲み水にしており何日かに一度汲みにいくのです。

ワタクシも大好きな場所、最後にここの汲みたての水を飲んで帰りたい!

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これがアックアサンタ(聖なる水)と名づけられた湧き水。

その名をとって一家が住む家をアックアサンタと名づけた。

もちろんピュアで清らかな読んで字のごとくの水の味だ。

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アックアサンタ(湧き水)は小川のそばにあり、森の中をくぐったところにある。
川を上ると彼女の住む石の家がある。

アントネッラの後姿、つい写真にとってしまった。
なんだか寂しそうにも見える。

さて!昼ごはんまではもちろんオリーブの収穫をしなければ。
最後のお仕事。

二人で今回10日間の中で一番のおおものの大木を二人で取り掛かる。

なんだかんだで二人で夢中になり気がつくと12時を回っているではないか!

もう昼ごはんは食べてられない!
急いで支度をしなければならないワタクシ。

アントネッラの車に飛び乗り急いで駅へ!直行!
駅に向かう途中でパン屋に寄って、

『めちゃくちゃおいしいフォカッチャを買うからね』と

チーズを練りこんだフォカッチャを買ってくれる。

急いでハンドルを握るアントネッラ、駅までの道、
アントネッラはワタクシに

『レイコ、私のオリーブオイルどうやって売るの?』と。

『え~~~当てなんてないよ~~帰ったら営業よ!わかんないねぇどうなるか』

内心現実に戻り心は汗!

『しかしアントネッラはどう思ってるの?』とワタクシ。

『私はね、売れる売れないはわからないは~でもとっても嬉しいのよ、
レイコに会えて本当にフェリーチェ』と胸に手を当てて言う。

フェリーチェとは‘しあわせ‘って意味のイタリア語。

ワタクシも『私もあなたに会えてしあわせよ』と。

これが男女の会話だったらもっといいのにねぇ~

お互いそれ以上何もいわず車中-…

ぎりぎりで間に合い挨拶もそこそこに電車に飛び乗ったワタクシ。
もっと別れの余韻を楽しみたいところだったけど仕方ない。

アントネッラは家を出るとき渡してくれた布のバックには例のニョッキの弁当が入ってる。
列車の席について落ち着くとすぐ出して食べる!

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ボロニェーゼ(ミート)ソースに和えたニョッキ、
そして今朝取った畑の青菜の炒め物とこれも今朝ワタクシが起きる前にアントネッラが森に入って取ってきた
きのこの炒め物のおかずとともにタッパに。

窓際のテーブルにおいてワタクシしみじみ~~~

猛烈におなかがすいていたので涙など流しませんワタクシ、見た目よりすんごい量が入っていた!
物凄すぎて全部平らげられない。
しかしゴミ箱に捨てることは絶対出来ない!
なんてったって皮から芽が出たジャガイモのニョッキだ。
(これは日本に持ち帰り庭に埋めました)

めちゃくちゃおいしいというフォカッチャもめちゃくちゃおいしかった!
あんまりおいしかったので半分残して日本の家族にも持って帰ってきたほどだ。

帰り際は間に合うか微妙だったのでウルルン滞在記のようにウルルンはしなかったのだが

これを書きながらウルルンしてきたワタクシ。

ニョッキの味も忘れられないけどダイヤモンドとメルダの話にあの電車の中でも
何度もリフレインしてたっけ。

そしてアントネッラに出会えた事へも感謝だが

このブログを見てくれた方から激励の電話、メールをたくさん頂きました。

販売に途方にくれていたワタクシですが
これで少し光明が見えてきた。

一先ずこれでアックアサンタオイルについての報告はおしまい。

番外編としてその他の面白いことを後の機会に書くつもりです。
どうぞお楽しみに~