ダイヤモンドでなくウンチだった

果実の質の良さは摘んでいるとだんだんわかってきた。

ここもアサクラ農園同様肥料を施さず、もちろん農薬も一切かけていない農法-自然栽培だ。
果実の質はそれだけでなく、アックアサンタ(この地の名称)の自然環境からみても
とても恵まれており、何度も書いているが山の中に取り囲まれたオリーブ農園という
ことが影響している。

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写真をよくみていただきたい。
中間部に見える木々がオリーブ畑、手前は森の木、
向こう側は山だ。
向こう側の山はまるで会津近辺の山の風景のようである。

そこは樫を中心にした広葉樹がたっぷり茂った森、
イタリアは北にアルプスがそびえているが
それ以南になると木の茂った山をみることはとても難しい。

日本とほぼ同じ国土を持つイタリア、
日本は70%が山林ですがイタリアは何パーセントかは?ですが
その逆以上に耕された農地が多く占め、山はあっても木の無い岩肌の露出した山か、
地中海に広がる低木の木がぽつんぽつんとある程度。

アックアサンタはお隣がオリーブ畑ではあるが
その他は全部森に囲まれている。

これはどういうことかというと

木があるので

-水に恵まれる

-それによって山の植物が豊かになる、

-落ち葉は土を豊かにし、

-土中の微生物が豊富になる、

-それにより昆虫が増え、

-鳥や小動物が増え、

-それらの糞も土の中にいるバクテリアによって分解されさらに植物を豊かにする

植物連鎖の自然サイクルが回るようになる。

実際、オリーブを収穫しているとオリーブの木にもいろいろな昆虫と遭遇する。
そしてうるさいほど小鳥たちが朝から晩までピーチクパーチクとさえずっている。

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この写真はアックアサンタのオリーブの木の一番高いところからとった写真。
写真を撮りながらも前を鳥が元気にさえずりながら横切っていく。

ちょっとやそっとのオリーブにとっての害虫(といっても人間が勝手に都合よく呼んでるだけだが)を
食べてくれる他の虫や鳥が豊富にいるからその害虫は大繁殖しない。

無農薬栽培が比較的簡単に出来るようになる。
薬を撒く必要がなくなるのだ。

そして肥料。
通常は化成肥料または堆肥(ほとんど動物質の糞尿の発酵したやつ)を施し
もっとたくさんオリーブの収量を上げるのが普通だが

アックアサンタの自然栽培はこの自然な植物と動物たちとの自然サイクルの中に
うまくはまっている。
だから余計な(不自然な-山の中の植物連鎖の中で人間が肥料を施すことなく山の土・木々が立派に豊かになっていく・・・ということに逆らうこと)施しはまったく必要が無いのだ。

実際、たわわに実がついているのだ。

私は、なんども彼女と収穫をしながらぎっしりついた枝のオリーブをしごきながら

‘無肥料なのに!‘ 

と何度言った事か!

アントネッラも続けていう。

『隣は大金持ちの大地主でオリーブを栽培しており、私たちの畑も見て知っている。』
『実際自分でそのお隣さんに、肥料はやってないのよ~と何度言っても自分はやろうともしない、
どうやってやるのか、なんて質問しようともしない』
『毎年マニュアル通りに肥料をやり、結局実の付きはうちとそう変わらないのよ』

とアントネッラは笑いながら言う。

まぁそんなもんだろう。
まるで異次元の世界のものを見るよう、聞くようなかんじなのだろう、お隣さんにとっては。

それはさておき、

素手で枝からオリーブ果実をしごき落とすとき、力を入れないとなかなか実がはずれない、
枝つきがとても強力なのだ。

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さくらんぼみたいに枝から実と枝をつなぐ細いの、なんていうんだろう!
それを引っ張って取るのだが、離れにくい離れにくい。

しっかりと実が枝についている。

これはいろいろオリーブを収穫しているがココほど力が必要なところもなかった、
それほど力強く実がなっている。

肥料をやらない、ということは自分の力だけで太陽と雨や朝露などの水、土のもつ力を頼りに
育たなければならない。

だからこそ根は深くはり、生命力が強く、自力で生きていく力がつく。

アックアサンタのオリーブと向き合ってまたなお自然栽培の底力を実感した。
なんだか子育てにも通じるような感じですね。
ライオンも子供を谷底に落とすって言うじゃないですか。
かわいい子には旅をさせろ、とか。

カホウゴはいけません、何事にも。
自力で生きる力が養われない。

さあ、どんな油に絞られるか、楽しみになってきませんか?