パスタを輸入する!
と決めたとたんにワクワクが止まらなくなったのは、
マリオさんは無数のパスタ型を作ることができるから。
たくさんあるの中から、
どれを日本に輸入しようか?
そこはめちゃくちゃ楽しかった。
ロングパスタは、
ストローのように空洞があるブカティーニ、
平面(きしめんのような)のタリアテッレ、
幅の狭い平面・リングイネ(小鳥の舌という意味)
ほそーーーいフェデリーニ1.25㎜
1.6㎜のスパゲッティ―ニ
1.8㎜のスパゲッティ、
2.0mmのスパゲートーニ
それらの各々、ブロンズ抜き、テフロン抜きの2パターン出来る。
また卵入り麺やバジルやレモン、トマトや昆布などの練パスタも作る。
ショートパスタに至っては、
パスタをカットするマシーンの刃の速度を遅くすると
ペンネだったら、長いペンネができ、、
刃の回る速度を早くすると短いペンネになる。
1つの型で2~3パターンつくることが出来る。
それらもブロンズ抜きかテフロン抜きかと2パターン整形可能。
とにかく、
様々な見たことのない型も含め数十種類のパスタを作ることができる。
これは今までいろいろな製麺所を見たけれど、
マリオさんの製麺所のように変化に富んだものができるのは稀だ。
それだけ小回りが利き、
小さなニーズにこたえようとする
社長のマリオさんの心意気とチャレンジャー精神の賜物だ。
どんなパスタを作ることもできるのであるが、
ただ、その中から好きな型を好きな数、注文することはできない。
マリオさんは、全て受注生産で、
予め作って倉庫に保管し在庫を常備しておくことはしない。
注文分しか生産しない製麺所だ。
これにはガーーーーンで
機械に粉を入れて稼働させるための最小ロットというのがある。
最低で800㎏の粉をマシーンに入れなければならない。
これは大体500gのスパゲッティだったら1500袋近い数ができることになる。
私はいきなり、そんな数を注文することはできない。
それはマリオさんも承知の上で
日本へのパスタを輸入は、
マリオさんにとっても初めてだったため、
便宜を図ってくれたのはとてもありがたかった。
私がほしい型のパスタを注文する他の発注者と一緒に製造してくれ、
私の好きな数、すきな型を注文させてもらえた。
一般的な型であれば、大丈夫、と言われ
選んだのが
スパゲッティとペンネとリガトーニ(直径1㎝ほど空洞のある円柱型のパスタ)そしてジェメッリ(双子という意味)。
もちろんどれも古代小麦だ。
その当時、
アメリカ産の古代小麦がイタリアで超爆発的人気で、
マリオさんもその品種・『カムット』はお勧めだ、というのに従った。
また全粒に近い古代麦『ファッロ』もぜったいお勧め、といわれ
全粒に近い分搗きで色合いが薄い茶色で
日本では見たことのない色合いのパスタだ。
それも絶対おすすめ、とマリオさんのアドバイスに従った。
つまり、
4型に絞り、スパゲッティはカムット小麦とファッロ麦をそれぞれテフロン抜きで。
ショート麵は全てブロンズ抜きでどちらかの古代小麦で、とそれで決まった!
最初の注文数は確かそれぞれ300袋ぐらいの注文だったように記憶している。
こんな高いパスタは誰が買うのか!?は常に頭の隅にはあったが
しかし今までの高温乾燥のパスタとは全く別物のパスタを売るんだ、と
自分に言い聞かせ、覚悟して始めた。
そしてついに日本に届いたのが
記念すべき2007年の春。
箱を開けるとノーラベルのパスタがパンパンに入っている。
一袋取り出し、
ずっしりと重いスパゲッティ。
あ~~~~ついに来たのか~日本に!
ものすごく感慨深く、同時に、売れんのか?がまた頭によぎる。
しかしながら、着いたものはしょうがない。
やるしかない!
新発売のパスタをどのように売り出したか?
いまとなっては全く思い出せない。
もちろん、リクエストしてくれた
例の自然食品店さんに、いの一番に説明に行き、
喜んでくれ、販売を応援してくれたのはとてもありがたかった。
そしてオリーブオイル使い方講習で
いままでは主催者が用意したパスタで料理していたが、
自分の販売しているパスタで料理することができるようになり、
オイルと一緒に販売したのだと思うが、
あまり覚えていない!!!
覚えているのは、
年々、輸入量が倍に増えていったということ。
驚くのは、
オンラインの個人の購入者が多かった。
そして購入者からの感想が多かった。
『こういうパスタが食べたかった』
『今までのパスタは食べることができなかった』
『食べて一発でおいしさがわかりました』
とまあ、
私が2年もかかって腑に落としたのだが、
これらの人は、一発でわかった、ということだ。
これには本当に驚いた。
わかる人にはわかるのだな、と実感する日々だった。
ありがたくも輸入量は倍倍に増え、
値段はまったく気にしなくてもいいんだ、
というのが早々結果が出たのには本当に助かったし、
求めている人がこんなにいるんだ!
私があのカフェで食べたカッチカチの麺に疲弊している人たちが
私以外にもたくさんいたんだ、ということがこうしてやってみたからこそわかった。
次号に続く