コラム内容
遺伝子の『スイッチONとOFF』という概念
数か月前に、ある冊子の編集者からお勧めの本を紹介してください、という依頼がありました。
迷わず選んだのが分子生物学者・村上和雄氏著書の『生命の暗号』(サンマーク出版)です。これは多くの人に読んでもらいたい一冊です。
著者の生い立ちから始まり京大での研究の顛末から海外留学での経験、そして移籍した筑波大での世紀の大発見まで、『遺伝子とは?』を、著者の体験から得た確信をまとめたものです。
私は本書を、末期がんに侵され見事に克服した知人から教えてもらいました。
本の内容を具体的に書いてみます。
人は30兆という膨大な遺伝子(DNA)を持つと言われていますがその大部分は機能せず眠った状態だそうです。必要に応じて遺伝子のスイッチがONになり、そのスイッチは『心』と密接に関係しているというのです。
遺伝子は生まれてから死ぬまで固定されたものではなく、環境や心の状態によって機能をON・OFFに切り変わる。
今、不可能なこともそれを司る遺伝子がONになりさえすれば努力や行動が伴うことにより可能になる、とあります。そのスイッチをONにするにはどうすればいいのか?
そこからが本書の真骨頂。
凡人の私が読み進めテンションが上向いた本書の主題です。
心の在りようをどうすれば眠った遺伝子をONにできるのか?簡単に言うと、ポジティブシンキングであれ、ということです。
科学者である著者がそれを具体的に書いています。心の在りようとは毎日の生活の中にあり、目に前にある現象をどう捉えるか?
『喜ぶ』『感謝する』『前向きな想い』などが不可能を可能にする遺伝子がONになり、その逆に『怒り』『心配』『不安』『絶望』などのネガティブな思考は人にとって都合の悪い遺伝子のスイッチをONにしてしまうと。
それは病気につながる、とあります。心の在りよう、心の持ち方、思考が、遺伝子のスイッチをON・OFFにするというのです。
マイナスな現象としてわかり易いのは体調不良や病気です。
それらはネガティブな思考が病気を発動する遺伝子をONにしてしまう、とあります。しかしそうなったとしても、心の在りよう、思考を変えることで重篤だった病気も克服できた人が何人もいると、著者の関連書を読んでもわかります。
実際、本書を教えてくれた知人は末期も末期の明日さえも保証できないと言われた命がこの本をきっかけに思考が変わり、その後の行動によって癌が消え、いま元気に講演活動で活躍されています。
科学者であるからこそ記すことが出来た印象深いフレーズは『科学的データでは説明しきれない生命の神秘がある』という部分です。
その一つ、祈りや感謝は単なる宗教的行為ではなく遺伝子レベルに作用しうる可能性がある、とあります。
祈りというのは太古の昔から人がしてきた行為です。太古は現代のように科学的に明らかになっていないことが多々ある中、判らないからこそ人は何かに願う、そして祈りになったのだと想像します。その祈りの行為が現代も絶えないのは。
目には見えない何者かの影響、つまりグレートサムシング(偉大なる何ものか)の存在があるからと著者は結んでいます。
私は本書を読み終え妙に納得しました。
理由などありません、心にしっくりきました。本書は読後元気が出る本です。
どんな困難があってもあきらめない、常にポジティブ思考であることが一番だということです。
著者も書いていますが、もちろんそのためには『毎日の言動を誠実に、素直に』がベースになるのは言うまでもありません。
(れ)
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