ご来光の感動に浸り、そして空が明け、
しみじみ浸っていると、さあ下山か!と心の中で気合を入れた。
そうするとインコさんが近づいてきて、
③「ねえ、レイコさんオハチメグリどうする?」
それについては、七合目辺りからインコさんが何回か話題にしていた。
私は気持ちに余裕がなかったので、聞いていたが、
オハチメグリをよく理解できていなかった。
そして、ここにきて、ああなるほどと、
「お鉢巡り」ね。
お鉢巡りというのは、
富士山て台形型ですがテッペンはぺったんこになってますね。
ぺったんこ部分は火口で、すり鉢のように内側がえぐれている。
噴火した後ですね。
その縁をぐるっと歩けるんだそうだ!
あ、そういうことか。
そこってどの位の道幅があるのか???真っ先に頭に浮かび、
私 “まさかものすごく狭い道幅の断崖絶壁じゃないだろうな”
“道を踏み外したら、富士山の火口の中に落ちるんじゃないだろうな”
私の頭の想像を打ち消すように、
インコさん笑いながら
④「かなりの道幅があるから怖くないよ」
ゆったり歩けるよ、と。
そして私さらに突っ込み、
「それって上り坂ある?」
インコさん
⑤「ないよ!まっ平ら。坂はないよ」
⑥「どうする行ってみる?」
そして更に私は突っ込み
「ねえ、それ、今の私に歩けると思う?」と
そうしたらインコさん
⑦「うん、歩けると思うよ」
「インコさんだけ行ってきたら?」
と逃げると、
ここにはもう戻らない道順なので、行くなら二人でと言う。
じゃ行くかということになり、坂もない平らならいいかと。
そのお鉢巡り、火口縁を歩くことになった。
インコさんは私のペースを考え、
グループとは離れてバスの集合時間まで戻ればいいのねと、
ガイドさんに話をつけ
私たちは、十合目から別行動することにした。
グループもよいが、やはり自分たちのペースで歩ける方がいいなと
インコさんに従った。
そしてお鉢巡、火口縁は結構ダイナミックなロケーション。
活火山ですよね富士山は。
もちろん噴煙が上がっているわけでもなく、
穏やかな火口のお鉢だ。
しかし、落ちたら怖いよ~深い!
こちらが火口縁・私の左側が「鉢」のように見えるでしょう。
そしてぐるっと歩いたが、上り、ありましたよ!
まったく平らではなく、上りも下りもごつごつとした道でした?
そしていよいよ下山か、と思いながら少し眺めも見ながら、
下山のことだけで頭が一杯。
田代山の時は下山の最後で膝が傷んできたので、
それのトラウマで今回は大丈夫か?
また膝が傷まないか、そればっかり考えてた。
そうしたらインコさん、また妙なことを言い出す。
⑧「ねえレイコさん、この先に頂上があるんだよね」
私「え?頂上ってさっきのとこじゃないの?ご来光見た」
インコさん「違う違う、あれは十合目だけど3776m地点じゃないよ」
私「え!?うそ!あそこじゃなかったら何所よ」
インコさん「ほら、あそこだよ」と指を刺すじゃありませんか。
えーーーーーーーご来光の広場が3776m地点じゃない?んなバカな!
山頂はもっと先のあそこと
え?あっち?
インコさんが指さした方を見ると、
まるでアサクラ農園のある、アブルッツォ州のペンネのようじゃないか。
中部イタリアにはよくこんもりと小高い丘のてっぺんに街がある。
まるで中部イタリアのような風景だ。
ここにペンネがある・・・・
※ペンネは町の名前
え、あそこ・・・・・
インコさん⑨「ねえどうする?あそこまで行ってみる?」
私、相変わらず「インコさん、私にあそこまで行けると思う?」
何度もこうインコさんに質問するのは、
どんな状況か、条件か全くわからないので、
判断がつかないから聞いている。
私「下山もあるし、田代山で足ガクガクになったしさ私」
インコさん⑨「下山?下山なんか昨日の登りに比べたら屁のカッパよ屁のカッパ」
上りの合計7時間強に比べ下山は4時間ぐらいだし、屁のカッパと言う。
そうかそうか、屁のカッパなんだ~~~
下山は屁のカッパ・・・・
私、またもやインコワードの渦に巻かれ、
意を決してその山頂まで行くことにした。
ここまで来たんだもん、山頂行かねば!
力を振り絞って、登りましたよ!
もう上りはないと思ってたのに・・・・ぐぐぐぐ、ぐるじいげど、のぼるあたちっ(登る私)
いや~きついきつい。
昨日のチェチカレーのエネルギーを全部使っているのを感じながら、
うどんも全部食べられなかった、
あれ食べたかったけど食べられなかった、どうしても。
そんな私でしたが
やっとこさ、到達!山頂!
剣ケ峰っていうんだそうで、
ココが正真正銘・山頂、テッペン!日本最高峰3776m地点。
やった!!!
ここまで全く下調べなく、
行きゃのぼれるだろうと、
インコさんに言われるがまま、ここまで来ました~~来れた!
(それがよかった)
この石碑で撮影するために長蛇の列。
順番で記念写真、あの時はあまりよくわかっていませんでしたが、
今ならわかる!そのすごさが!
これで正真正銘下山だ!
妹にご来光と雲海の写真を送ったら(十合目も、山頂も携帯電波が来てました)
すぐさま返事が来て
(ライン・妹/下山が大変だから山登りは・・・⇒このワード曲者・インコさんと真逆)
わかってんじゃねーの。
でも、屁のカッパだから下山は。
と信じ、いざ!
そうすると、浅間神社が見えてきて、
インコさんと二人で登頂のお礼を。
そして無事の下山五合目まで歩けますようにと祈願し
いざ!下山!
七合目までは月面か?というような上りの大地でしたが、
下山は砂利の上をすべるように歩かねばなら(こんなとこ!)
ない。
上りとは全く別の印象の道を、ジグザグ、ジグザグに歩く。
確かに、上りに比べると、楽は楽だが、
しかし長い、行けども行けども同じような道が続く。
七合目辺りまでに来ると、植物がまた見えだして、
青空とグリーンのコントラストが美しい。
天気も良く、気持ちいいのだが、
気持ちいいを浸る余裕はない。
またひたすら一歩、また一歩と足を出す、
そして呼吸は、
上り程、気を使わなくても、だんだん空気が濃くなっていくので、
気にならなくなってたな、そういえば。
一歩一歩、足を前へ出すだけを見て頭はまた空に、無に。
●下山したらあれをしようこれをしよう、
●あれ食べたいこれ食べたい、
●あの仕事はどうなってる?
全く考えなかった。
ひたすら歩くのみ。
そうこうしていると救援の車が上の方から下って来た。
人が2-3人乗っている。
若い男女数人。
ひゃ~あれに乗りたい!
もういいじゃないか、ここまで来れたんだから。
山頂にも行けたし、
(心の中)あれに乗りたい!
しかし救援者の為の車(キャタピラー車)
歩けている人は乗れない。(とほほ)
頃合いを見て、休憩をとる。
食欲もまた出て来て、
インコさんはおいしいお菓子をいくつも持参しており、
それを頂戴して、補給・休憩・給水だ。
だんだん下りも進むと、
まだか~まだか~と欲が出てくる。
下山に近づくほどまたまだか~まだかの欲がどんどん出てくる出てくる。
インコさんは途中、
私を一杯褒めてくれる、それも上手に。
「いや~レイコさん大したもんだよ」
「さすが会社を経営してるだけある(関係あるか?)」
「根性あるね、さすがだ」
それがまた嫌味なく言う。
飴と鞭ではないが、
①~⑨はインコさんワード。インコさんの上手な促し(鞭)に、
そして間間にお褒めの飴が入る。
絶妙なタイミングで
私をうま~くコントロールする。
決して上から目線ではなく、
一つ一つ新しい課題を出して、
それを私がクリアすると
次に新しいチャレンジを見せる。
すごいよインコさん!(笑)
それに私すっかりのせられてここまで来た。
それは最後の下の下まで続き、
最後の最後、
往路・五合目の出発後すぐに長い下り坂があったので、
登る時に、これって帰りもここを通るとしたら最後上りじゃない!
と最初に二人で言い合っていた場所がいつくるかいつくるか、
と歩きながらびくびくしていた。
あそこが来ればもう終わりの印だけど
あののぼりを最後登れるか?
まさに心臓破りの上り、と私、戦々恐々としていた。
最後の最後の休憩は精も根も尽き果てた(ヨレヨレ~~~)
しかし歩ったよもちろん最後まで。
最後の心臓破りの上り坂を目の前にして、
五合目の看板が見えた時は何とも言えなかった~
やはり、嬉しいとかヤッター感はなく、
身体の隅々全部使って絞り出した、チューブ入りのマヨネーズの最後の最後みたいな私だった。
終わった~~
本当の本当に終わったんだ!
登って、降りてこられたんだ!
最後の休憩後は、インコさん私のリュックを担いでくれ、
さっさ、さっさと歩く。
その背中がたのもし~
まだぜんぜん歩けそうだ!
オトコだったら惚れてる❤
いや、そんじょそこらのオトコ以上だ!
かっこいいインコさん。やさしくかっこいいインコさん❤
私にも完歩出来たのは天候やいろいろな条件に恵まれて幸運だったのもある。
そして最大はインコさんの上手なコントロールのお陰。
①~⑨の鞭で、
「無理」「できない」「あり得ない」の言葉は発しないように、
そして適度な飴(誉め言葉)とで私は自力で完歩出来た。
これは自分の「日常の思考」のネガティブなものの見方や考えは、
自分が思っている以上に出来ること、可能性のある事、をじゃましているってことだ。
出来たんだから朝倉玲子、富士山登頂。
いつもの自分が知っている朝倉玲子だったらできませんでしたよ!!!
でもポジティブな言葉のコントロールで
出来ないことを出来るに転換されられたのが富士山登頂だった。
だからね、
何を言いたいかって、
ポジティブに生きようってことです。
自分の今までの経験なんて信じなくっていいのです。
出来るって思えば、出来る可能性がかなり大ってことです。
あなたにも出来る!と私は言う。
そしていろいろな事、自分には不可能だと思っていること
たくさんあるでしょ、
それって「無理」「出来ない」「ありえん」て思うのをやめてみませんか?
自分に巡ってきた出来事は、きっとできることなんだと思う。
自分の眠った可能性を呼び起こし、
人生を最大限に楽しもうじゃありませんか!
難題が来ても、逃げずにチャレンジしていこうじゃありませんか!
ってことです。
最後に、オルチョ通信9月号に
登頂後の心境をまとめました。
そちらもご笑読ください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
あなたのこれからの思考の仕方と行動のお役に立てば私、うれしいっす。
チャオ