3776m登頂!~富士山登山~その1・上り

いや~過酷だった。

一言でいうと、その一言に尽きる。

 

 

行程を全て知っていたら、

私は登っていなかっただろう。

 

絶対無理、とそこで思ったきっと。

 

 

つまりどういうことかっていうと、

「自分の思考」って、やばくないですか?ってこと。

 

 

なまじ知っていると、

 

その知識が邪魔をし、

 

 

自分の眠った力や才能を発揮できないってことでは

ない?

 

 

 

知人に、料理の基礎を全く勉強していない、

 

独学と実践で今までにない新しいレシピを開発している料理名人がいます。

 

 

普通の家庭料理だったらわかるのですが、

 

 

その人は、お菓子がとても得意。

お菓子は、

 

物理性・化学性を合わせないと作れないものです。

 

『パフパフの粉を焼き固める』

『ゼリーや寒天で液体を固める』

 

などはそのいい例だろう。

 

全くあてずっぽうや勘だけでは作れない。

 

 

ベーキングパウダー・小麦のグルテンにたよらない・

卵や乳製品のたんぱく質に頼らない、で焼き固めたり、

ふわふわのスポンジケーキやシュークリームまで作る。

 

 

常識にとらわれない、

今までにはない手法でお菓子を上手に作るのを見ていて、

 

ああ、なまじ知識がない方が新しいものを作り出す、

常識を覆すことができる、

 

をその人で見てきた。

 

今回昭和39年生まれで58歳目前の私が富士山登頂が出来たのも

それだ。

 

 

いや、昭和39年生まれの人が富士山に登るのは無理、

と言っているのではありません。

 

私は、ここんとこ運動は全くしていません。

昔は運動神経はまずまず良かった方ですが、

 

今はだめ。

 

2年前に左手首を骨折した前後数年は、

転んだり、なんだりして怪我ばかりしていた。

 

 

骨折やけがで

 

あのころのままの運動神経・運動能力だと思い込んでいただけで

身体はちゃんと年を取っていた。

 

あの頃の私ではないのだなと悟った。

 

 

そして、その悟った後の私の思考は

 

『私は体力がない、運動能力がかなり落ちた、毎日ろくに歩きもしないし』

と、そう思い込んで生活していた。

 

 

そして結論から言うと、

富士山を自力完歩で来た。

 

自分で想像していた以上の力が出せた結果だが、

思考という厄介なものの存在が今回、明らかになった。

 

自分で自分にブレーキをかけてることってありませんか?ってことを。

 

 

さて、自分の厄介な思考を突破するには?

自分自身の思い込みの呪縛を解くには?

 

そんなことを考えるきっかけにこの報告記を読んでもらえたらいいな、

 

って思います。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

登山してみたい!に火が付いたのは、

FBで知った顔の多くが山頂からの写真をアップしているのを見て、

 

なにやら清々しいお顔や

FBの投稿を見て、

 

登山てなんて楽しそうなんだろう!

と漠然と思うようになったのが数年前。

 

そしてマクロビオティックジャパンの宮里未央さんの教室に

講師に呼ばれるようになり、

 

教室後の打ち上げで、

登山の話が頻繁に出るようになり、

 

行ってみたい!熱に火がついた。

 

 

わたしにも出来るかな?との問いに、

未央さん「基本歩くだけだから」の返事に、

 

 

えーーーー歩くだけでいいんだ!(単純な私)

 

と、舞い上がったのでありまーす。

 

 

そうかそうか、

 

歩くだけでいいのか。

 

 

それなら私にだってできる!

体力?んーーーまあそれほど必要でもないだろう、

 

 

と勝手に都合よく考えたが

(いやまてよ、そんなはずは・・・ともチラッと思ってはみたが・・・)

 

 

登るぞ――――モード全開になり、

 

未央さんと教室参加のインコさんと3人で計画を立て

6月に南会津の田代山に登ったのでした。

 

 

その顛末は、7月8日付のブログに書きました。

 

結構反響があって、山登りに興味がある人が

たくさんいるんだな~とちょっと驚いたが、

 

 

今ブームなんですかね?

 

 

さて、田代山は前述のブログに書いた通りに、

 

久々の山登り、かんたんとはいきませんでしたが、

まあ初心者にはまずまず楽しめて美しい、

 

 

いわゆる「山登りする」を味わえる

 

とってもいいお山だなと思います。

 

 

 

そして、味をしめ、また登ろう登ろうとせがみ、

 

インコさんが①「次は富士山だね」とメールしてきた。

 

 

いきなりそんな高い山にですか?とつぶやきながら、

 

いいですね~なんて何も知らない私は

 

 

二つ返事で、そうしましょうと快諾、

「ねえ、私に登れると思う?」に

 

インコさん②「レイコさん位の年の初心者の友達と一緒に登ったよ」と。

 

またかる~い返事がきて、

 

わたし、

そうかそうか、そんなもんか。

 

とあまり考えずにOKし日程を決め、ガイド付きのツアーに申し込み、

 

その日はやって来たのでR。

 

 

(時間をすこーしだけ元に戻すと)

 

 

登る日の数日前に、

@Katie styleの溝口恵子さんに会う機会があり、

恵子さんは数年前に登っているので聞いてみると、

 

行きだけで5時間と言うではないか。(私、絶句)

 

 

え?行きだけで?

しかも8合目までで5時間と言う。

 

田代山は行って帰って5時間ぐらいだったから。

 

だいた~いどんな感じかがわかる。

 

 

え~~~うっそ~~~

そ、それはやばくないですか?

 

恵子さんそれ登れたわけだよね?

恵子さん涼しい顔で「うん」と。まあ大変だったわよ~と

 

余り大変そうには言わない。

 

 

複雑な気持ちのまま、あと数日の出発日までを

何とも言えない気持ちで過ごした。

 

 

そして当日。

 

前日は黒磯の白牡丹さんの料理教室が入っており、それが終わって

 

そのまま東京へ。

 

 

一泊して八重洲からツアーのバスに乗り込み新宿でインコさんと合流。

 

私もおっきなリュックを(今回この為に買った)持っていますが

インコさんはリュックのほかに2つぐらいおっきな手提を持っている。

 

ニコニコしながら、これ殆ど食料だから~といいながら

私は、?食料?こんなに。

 

 

とまあ、よくわからないまま五合目まで

 

インコさんと楽しいおしゃべりをしながらも、

内心は、だ、だいじょうぶか?が時々頭をよぎる。

 

 

バスがだんだん上りになり、いよいよ富士山へ。

 

そして、五合目に着いたのでR。

 

 

身支度を整え、集合し、

 

大型バス満席、そして私達のバス1台だけじゃなかったようで、

 

大勢の同じツアーの人がグループに分かれ、一人ガイドが付き

 

登り始めたのであります。

天気もまずまず、5合目吉田口からで

ご覧の通り長袖、気温は12-3℃ぐらいだったろうか。

すずしい!!!(8月22日)

 

五合目は既に人でいっぱい。

何度も登っているインコさんによると、

空いてるそうだ。

 

富士山が見えるとテンションが上がる~

 

しか~し、よく見てください(五合目の記念写真、後方の富士山)

 

これからあのまっ平らなところまでいくんですよ!

(その時はそんなこと想像しなかったし・考えもつかなかった)

 

 

あそこまで登るんだ!なんてわかってない(笑)

 

バカな私。

 

 

私達のグループは若い女の子が主の15人ぐらいいただろうか。

 

その中にちょっと年のいった私たち二人。

 

 

みんな楽しそう!

 

ガイドの男性を先頭に出発。

 

 

そしてしばらくすると馬が2~3頭繋がれている。

 

 

溝口恵子さんに、ギブアップの時は馬がいるから。

 

馬代の3万円、持っていった方がいいと言われていたあの馬だ!

 

 

そうするとすぐガイドさんが、

「みなさ~~ん、ギブアップの時は馬に乗ってください!」

 

 

「4万円です!(あれ、3万じゃないの?)」

「お金は貸しますから!」ってすごい威圧感で言ってた。

 

無理するなってことですが、

たぶん挫折して歩けなくなる人がいるのだろう。

 

 

くわばらくわばら、と思いながら、

 

わたし?恵子さんに3万円持っていけと、

言われましたが、持ってこなかった。

 

持っていくかどうしようかな~と思ったのですが、

3万円(値上げされて4万でしたが)は持たない、と決めて臨んだ。

 

登頂、そして自力下山だけを考えて臨んだってことです。

 

 

歩いていると、

向こうから(上手から)馬に乗った人たちが結構来る。

 

年配の人が多いが、

馬に乗っている人はみな軽装の人だ。

 

 

軽装では八合目までは行けても、登頂は無理。

今だからわかる。

 

装備はもちろん、登山用靴でないと絶対無理。

 

オリーブ収穫の時もそうだが、

 

道具を甘く見てはいけない。

それなりに意味がある。

 

いい道具は、身を助けます。

 

びっくりなのは

登山時の衣類は、天然素材はご法度。

 

ウールはいいが綿などは汗を通さないのでぐっしょりになり、

 

登山にはふさわしくないことさえも最初は知らなかった。

 

化学繊維のインナーを身に着けるのであるが、

汗はそれなりにかくが、下着がぬれて冷えるってことはないのです。

 

化学繊維、すごいわ。

 

 

さ~て、上りはそんなに急ではないのだが、

だんだん疲れてくる。

 

最初だけ下りがあるが、それを過ぎると当たり前だが

 

上りは上りだけだ!

 

 

20~30分に一度休憩してくれる。

 

その時がもうありがたくてありがたくて。

 

その時に炭水化物を食べる。

 

インコさんがおにぎりだの(おにぎりはバスの中で食べておいた)そして

あんパンだの、すぐエネルギーになるものを準備してくれており、

 

 

それを貪り食ったはわたし。

おいし~あんパンが!

 

 

山のきれいなすがすがしい空気の中で食べるご飯はおいしい~

 

というレベルではない(田代山の時はそうだった)

 

 

富士山は、エネルギーが消耗するのを身体の内側からわかる。

腹がすくっていうより、

 

食べていると、補給しろと

身体が言っているのがわかる。

 

そしてむしゃむしゃ食べる。

 

そし

て水を飲むのだが

 

あらかじめインコさんに見ておくように言われた

山のぼりの為のYouTubeでは、

 

 

水はゴクゴク飲んではだめと。

 

少しずつ飲まないと体の隅々に吸収されない。

ゴクゴク飲むと汗になってすぐ体外に出てしまう、

 

そして高山病のものになるから注意!

 

と知らなかった吸水のコツをあらかじめインプットしておいた。

ゴクゴクやらない、少しずつ、少しずつ飲む。

 

守ったよ私。

 

だから汗もかくが、そんなにぐっしょりというほどではない。

もちろん登るほどに気温は下がっていくから

 

そう汗もかかない、トイレにも行かない。

 

高山病と聞いただけで、これも恐ろしい。

 

 

気分が悪くなったり頭痛だったり、

それが原因で下山する人も少なくない。

 

何とも恐ろしい高山病にならないよう、

給水と同じぐらい大事なのが呼吸の仕方だとインコさんが教えてくれた。

 

ガイドさんにも言われたが、

空気が薄くなり、そして疲労してくると、

はぁはぁと

 

息が荒くなるわけです。

 

 

そうなりそうになったら、

『息は吐くことに集中する』

 

吐けば、入る。

吐かないと、入らない、と口を酸っぱく言われ、

 

す~~~~と大きく吐き、

そして鼻から空気を入れる、に集中した。

 

そんなこんなで教えてもらったことを実践しながら

やっとのこと六合目まで来たが

 

 

私、もうすでにかなり疲れた。

 

やっと六合目かよ~~~とほほほ~~~

 

今日の宿八合目は、次の七合目を経た先にある。

 

うううううう~~~~~わたし、そこまで行けるだろうか。

 

かなり限界感を感じた私。

 

 

休憩をしっかりするが、リュックをしょってまた登らなければならない。

リュックには雨具、防寒具、おやつ、水、など必要最低限のブツが入っており

10kg近くある、重いよ結構。

 

 

上り坂も更に急になったような気がする。

 

登り始め、大丈夫だろうか、最後まで行けるだろうか、

そればっかり考えていたが、もうここ6合目で限界感を感じた時、

 

わたしはそれを考えることをやめた。

 

『行けるだろうか』や『8合目』・『頂上』『高山病』『ギブアップ』・・・

全部考えるのをやめて、

 

一歩、足を出すことだけに集中した。

 

右足を一歩。

左足を一歩。

また右足を一歩。

 

息は吐いて~~~~そして吸って。吐いて~~~~吸って。

(吸って、吐いて、ではなく逆!)

 

視線は足だけ、右足見て、左足見て、また右足見て、

これだけ!

 

頭の中は『空』

 

 

五合目はまずまずの天気だったが、

だんだん曇って来て、辺りは霧(天然ミストとインコさんは言っていた)。

 

景色は全く見えなく雲の中を歩っている感じだ。

 

 

 

そして待ちに待った七合目に着き、

次が今日の目的地八合目だからね。

 

わたし希望をもって少し笑顔も。

 

やっとここで二人とも写真を撮る余裕も出てきた。

 

(と言っても私はもう携帯で写真を撮るなどと言う余裕はなく

早々にリュックの中にしまった)

 

 

七合目になると、もう植物は全くなく、

岩肌のまるでここは月面か?と思わせるような

 

不毛地帯をひたすら登るようになる。

 

                 つづく