コラム内容
アサクラオイル収穫・搾油終了
弊社は自家栽培のオリジナルオイルを製造しています。もちろんイタリアでです。
オリーブオイルの魅力を料理教室で「油は油でも今までの油とは違うんです。ものすごいんです。トマトにかけてみて、バケットにかけて食べてみて、すごーくおいしくなるんです!」調味料としての魅力を伝えるのが始まりでした。それから三年もすると目の前に「無農薬無肥料」というキーワードが届きます。「え?」「何それ」「肥料なくして作物がとれるはずがないでしょう」農家の嫁経験がある私です。肥料を施すから作物がとれるというのは自分の頭には疑いのないものでした。が!!!本当に作れるらしい。そう思うきっかけはいろいろありますが裏付けたのは青森の木村秋則さんのリンゴです。手に取ると[ずっしり重い]切っても[色が変わらない]食べると[濃縮した美味しさ]これが無肥料で?しかも農薬なし!?驚きました。それから宅配で無農薬無肥料の野菜を購入、調理、食べるようになったのがとどめでした。虫食いなどない美しい野菜が届くのです。味は[有機栽培に比べると]薄味というか淡い。しかし食べ慣れると細胞に染み渡るように身体になじみ満足度が今までと違います。これはすごーーーいとなり、オリーブオイルも無農薬で無肥料だ!と思ったら目の前に畑が現れました。それが自家栽培のアサクラオイルです。今期で十九年目の製造になりました。
樹齢百年越えのオリーブばかりの畑で、オリーブは通常違う品種同士で受粉し実がつく果樹ですが、この畑は一品種で結実する珍しい単一のオリーブ畑です。弊社取り扱いのオルチョサンニータもボルゴもわら一本、アックアサンタどれも三品種以上ある畑です。数種混ざるとオイル自体の味はおいしくなり単一種のアサクラオイルは「ディリッタ」という品種一本勝負の味です。一つの品種ですから毎年同じような味のオイルになると想像できますが、そうではないのが毎年オイルを製造してわかってきました。単一種なのに毎年味が変わるのは、どうしてか?もちろん天候による影響も大きいですが、一番は土壌の変化です。ワインにテロワールという概念があります。その土地特有の性質がワインの味に影響するという意味です。ワインに限らずあらゆる作物の味は土壌に連動しています。肥料を施すということは、あたかも土壌をリセットさせる行為です。一方無肥料はそこにあるものでリセットすることなく連綿と変化し続けます。アサクラオイルの味の変化はその土壌の変化の連動と私は思っています。
今年の夏は昨年と同じ酷暑でしたが九月に入り朝晩の気温もしっかり下がりたっぷりの雨も降りました。十月一日に現地に入りましたら早々にオリーブが色づき始めていました。こんなに早くからオリーブが色づくのを初めて見ました。リンゴの木村さんが秋になり気温が下がるとリンゴは秋が来たと認識し赤く色づくと言っていたのを思い出しました。肥料や農薬で調整しない土壌で育つ植物は、気候を敏感に察しそれに対応する能力が高いのでしょう。その旺盛な生命力は土壌の変化と連動し連綿と続く。それが味にも反映する、と想像します。今年はこれまでにない現象を見せられました。
製油所の果実を粉砕するパーツがバージョンアップした為、更にいつもと違う度合いが大きいアサクラオイルになりました。到着は新年明けの予定ですお楽しみに!(れ)
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レシピ:スパゲッティ・ナポリタン
★11月のクローズアップ
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