2025年2月号通信
コラム内容
料理は科学
取り扱うアイテムの中でもダントツ面白いのが豆や麦です。
イタリア・マルケ州のクリスチャンのアイテムです。
クリスチャンは新規就農で農業経歴がないゼロからの始まりでした。
農地も自力で探し2009年に実家から山間の平地のない土地に移住した人です。
世界的に小麦の問題が言い始められた2007~8年辺りからアサクラパスタを誰が作った原料か?
オリーブと同じようにパスタも生産者を明確にしたいという思いから無肥料無農薬で生産する彼に出会えました。
初めはパスタの原料のみのつもりでしたがEUオーガニック認証で義務付けられている同一畑での連作は禁止されており、数年後に実る豆も買い取らねばならなくなりました。
弊社では難しいのでチェチ(ひよこ豆)とレンティッキエ(レンズ豆)を埼玉のサン・スマイルさんという豆販売のエキスパートに協力をしていただき日本で販売できるようになりました。
チェチから始まり、二種の豆を取り扱い十年程になりますが、チェチは味噌やレトルトなどにし、また味噌WSも広がり、お陰様で人気のアイテムになりました。
レンティッキエは不作続きでしたが、こちらもここ2年連続の豊作で慌てて販売促進を集中的にしているところです。
YouTubeアサクラチャンネルでも頻繁に利用するのはそのためです。(笑)
いまレトルトやカレーの商品開発もしており、もう少し時間がかかりますがこちらもチェチ同様よろしくお願いいたします!
在庫のチェチを拡販するためにもう一アイテム・チェチ粉があります。
これは、ひよこ豆を粉にしたものです。
南会津にあるアンデス料理の民宿タンボ・ロッジの料理長 大屋さんに、クリスチャンのチェチでぜひ粉にと依頼され恐る恐る始めましたが、卵や牛乳なしでおいしいプリンができる材料として少しずつ広がりました。
ところが、いま販売しているロットの製粉加減が粗く、プリンにするには舌触りが今一つなので『粗挽きチェチ粉』として販売しています。
プリンにできることはできますが、前のロットとは舌触りが違うので今年これから製粉する新豆は注意しなければなりません。
昨秋は、納得いく仕上がりの製粉所を見ることにより、粉についてより理解が深まりました。
粉の仕上がりは、細かい篩を通せばいいわけではない、というのがわかりました。
粉は石臼や金属シリンダーなどで粒状の原料を粉状にします。
そのすりつぶしたもの全てを『全粒粉』と呼びます。
その粉状にしたものを篩に通します。製粉所にもよりますが、3~4段階の目の大きさが違う(ミクロン単位)篩に通します。
豆の中央部分の柔らかいところは細かく一番小さい穴の篩を通過し細かく仕上がります。
細かいのを通らないのは次に大きな穴の目を通り手で触ると最初の篩を通った粉より粗いのが手触りでわかります。
それにも通らない粉は次に大きな目の篩に通り、それにも通らないものは(外皮部分)最後にかなりざらついた粉としてでてきます。
目の大きさだけでなく、製粉する時の温度(石臼もシリンダーも回す速度で摩擦熱が生じます)も関係するのが今回よくわかりました。
石臼の場合は、石臼の『石』の材料も関係すると言います。
百聞は一見に如かず。
篩だけではない粉の仕上がりに影響することを知りました。
天候に左右される農産物である有機物は何かの作用により変化が大きく、均一にするのは難しい!もこのチェチ粉の製粉を知り料理することは科学とよく言いますが、まさにそれを実感しました。
農産物の加工は均一にするのは非常に難しいです。
少ないロットはなおさらです。
全部同じコピーを作るのが不可能。
それを踏まえ出来上がる農産物に寄り添わねばならないと思いました。
粉一つとっても粒の大きさ、成分変化を考えねばなりません。
ほんのちょっとの違いなのですが大きな違いになります。
新豆でのチェチ粉は細引きが届く予定ですが粗い目の篩で通った粉も買い取ります。
詳細は到着してからとして、今在庫の現実を知っていただきたいです。
粗挽きチェチ粉はまだ在庫があります。事情を知ったたくさんのお客様のご協力で少しずつですがプリンも加熱の仕方を少し改良し近いものができるようになりました。
また、焼き菓子やパンには全く問題ありません。
またタンボ・ロッジの料理長大屋さんのご協力でパンケーキミックス粉を作りました。
いま販売している軟質小麦とは全く違う小麦フリー、自然栽培のお米の粉と合わせたものです。
おいしい配合になりましたのでみなさん食べてください!
また販売店様におかれましては販売にご協力いただけますと本当にありがたいです!(れ)
******************
クローズアップ