★4月号 オリーブオイルの可能性

2024年4月号通信

コラム内容

オリーブオイルの可能性

講習会で忙しい3月でした。宮崎県延岡市、大分県の竹田市、別府市、群馬県前橋、埼玉そして地元会津クチーナでの定番教室と教室三昧の一か月でした。どこも久しぶりの開催または初めての場所での講習というのもあり、オリーブオイルの使い方を見る知るのは初体験の方が殆どでした。レクチャーではイタリア家庭料理の方法を最小限の食材で見て食べて感じてもらいます。

 オリーブオイルは特別なもの、サラダやスパゲッティの時に使う、と思っている方が殆どですがそんなことはありません。私は基本和食中心の日常ですが、めったにやらない揚げ物の時に菜種油を、風味付けにその方が断然美味しい時にはほんのちょっとごま油を、とそれ以外はオリーブオイルで賄っています。オリーブオイルは野菜との相性がとてもよく野菜そのものの味を損ねる(消すことなく)ことなく加熱でも生使いでもおいしさを引き出してくれます。

 イタリアの家庭では最小限の素材で塩とオリーブオイルで料理するのが基本です。味の濃い醤油や味噌、または味のベースになる出汁や出汁の素のようなものは使用せず、野菜から出る旨み、肉や魚からでる旨みだけで料理を完結します。だからどうやって味付けしたのだろうと想像できない複雑な味の料理はありません。

 全国を教室で回っているとわかるのは、このことを知る人が少なく、一つの野菜が料理していく過程で味が変化していく味見は欠かせません。僅かな素材と塩とオリーブオイルだけでおいしく変わる味に皆さん感動も大きく心に残ります。私自身もそうです。おいしいと言われる料理屋さんやレストランで食べる機会もあります。プロの味は調和がとれ素人には出来ない味わいの料理です。しかし時間がたつと何に感動したのか?どんな料理だったか?思い出せないことも多いです(苦笑)シャキッとさせたリーフレタスを塩とオリーブオイルで和えたシンプルなグリーンサラダは暑い日に食べると最高です。しっかり適切な時間でオリーブオイルと塩だけの調味でオーブン焼きした玉ねぎの濃厚な旨みと甘みといったら!それらの美味しさは一生忘れません。先日は埼玉県児玉郡上里の野菜や米を生産する橋本農園さんのご自宅で料理教室をしました。花芽が出始めた一見硬そうなネギが使用材料の一つでした。橋本さんにその時ある野菜で料理するのが課題でした。その硬そうなネギをオリーブオイルと塩だけで蒸し煮したのですがネギから染み出たエキスのおいしかったこと!単純なものほど人の心に染み入り忘れません。家庭で食べる料理は単純でいいと私は思います。シンプルで素材の味がわかるもの、そのものの味が最大限に引き出た、調味料を足して作った味ではなく、素材の味をシンプルに引き出したもの、これこそが家庭食として日本の皆さんに知ってもらいたいです。イタリアの家庭料理の手法は素晴らしい。それもこれも本物のオリーブオイルの力のなせる業です。

 また料理する時間と手間の無い方の為にオリーブオイルの優れたところをもう一つ。オリーブオイルを『出来た料理にかける』です。エキストラバージンをかけるだけでその料理に食感や舌触りという味が加わり料理全体をグレードアップさせます。煮物に、炊き立てのご飯に、お味噌汁やスープに。焼き魚やお豆腐、お浸し、漬物、ざる蕎麦のツユに、なんにでも!『かける』『加える』で料理をさらにおいしいものにすることができます。本物のオリーブオイルだけがそれを可能にします。 (れ)

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レシピ:蒸し牡蠣のレモンソース

★4月のクローズアップ

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