イタリア産オリーブオイル・わら一本を広げる起爆剤とし
いろいろな試みにチャレンジしている。
おいしいコラボ企画はその一つだ。
コラボの恩恵は初めに想像する余地もなく、
しかし、今となっては
わら一本は、私にいろいろなメッセージを届けてくれる。
イタリアの食はもちろん、
母国日本の隠れた逸品まで掘り起こせるとは
思いもよらなった。
そして確実に、自分の食の経験値を高めてくれているから
ありがたいことだ。
マイケルのオイルと合わせる国内のおいしい、小さいながらも
丁寧に作る人と食材にスポットを当てている。
今回は、和歌山県産天然鱧(ハモ)だ。
夏の魚の鱧は、
関東・東北・甲信越などでは一般に食べることはなく、
西日本でも京都で珍重され、
またその他でも一部の料亭で饗される高級魚。
よそ行きの食材ともいえる。
私には関係ない、興味もなかった。
しかし、昨年いただいた天然鱧がおいしすぎ、
来年(つまり今年)の夏のコラボはこれだ!
と迷わず決めた。
と思うと同時に、なぜおいしいのか?
現地に赴き、見て、知って、食べて、その訳がよく分かった。
コラボ企画10弾で皆様にお届けするのは、
和歌山県湯浅産(紀伊半島西側)の天然鱧だ。
雁屋哲原作の「美味しんぼ103巻」日本全県味巡り・和歌山編
で鱧のとれる湯浅漁協が紹介されており、
漁の仕方が詳しく描かれている。
コラボ用・天然鱧を調達してくれるハタナカ鮮魚店さんも登場されており、
湯浅漁協圏内の特殊な漁の仕方がよくわかる。
鱧の漁場は瀬戸内海から和歌山沖にかけてが主で、
6月の梅雨の始まりから夏の終わりまで、
見た目はアナゴやウナギのように筒状に長く、
鱗がないぬめりのある魚だ。
アナゴやウナギと違うのは、
どう猛な歯を持ち、扱いが難しいということだろう。
そしてなんといっても開いてそのまま食べることのできない、
素人がさばくのは難しい。
骨切りといい、身にみっしりついている軟骨を、
専用の包丁で細かく切らなければ
食べられない特殊な魚だ。
細かく、皮まで切り外さないようにしっかり骨切りした身が、
独特の触感を生む。
火を通すと、花が開いたように美しい形状になるのは、
鱧料理の大きな特徴だ。
白身なのでデリケートな味わいは淡白だが独特で、
料理すればするほど、食べれば食べるほど奥深いのがわかる。
うんちくだけではわかりようがない、
実体験(様々な調理法で食べて)をして初めて
その良さや美味しさを実感できる魚と言える。
オリーブオイルと同じだ。
オリーブオイルを全く知らない頃に、
極上のオリーブオイルと言われるものを
食したことがある。今から30年以上前だ
いきなりそれがおいしいとは全くわからなかった。
興味もないので、
辛味に苦味に目をぱちくりするだけだった。
おいしいなんて、1㎜も思わなかった(笑)
しかし、その後
様々なオリーブオイルの味の経験をし、
舌が慣れ、美味しさのポイントが腑に落ちると、
オイルの良しあしがわかるようになる。
今では、
おいしいオイルかどうか、
まずいオイルがどれか?
わかるようになった。
鱧も、全く同じだ。
経験がないということは、
ぴんと来ない、興味が沸かない、
おいしいかどうか、わからない。
そういうことなのだ。
次回に続く
おいしいコラボ企画第10弾 ご注文はこちら https://asakuraselect.shop/