すっかり秋めいてきましたね。
涼しくなり、夏から秋、そして冬に向かって
いろいろなことが変化していきます。
一日として同じ日はない。
季節の移り変わりもなにもかも!
夏に収穫した小麦・麦類が涼しくなると
麦粒内部が変化し加工できるよう品質になります。
同じ穀類でも日本の米はほとんどが乾燥機で水分調整するのと、
また米は水分が適度にある方がおいしいので
収穫後あっという間に食卓に並びます。
麦類は違います。
麦は刈り取らないで完熟させしばらくそのままにし、
夏の太陽と乾いた空気で完熟させ根をつけたまま乾燥を完了させます。
8月末ごろまでに刈り取った麦はすぐには加工せず、
涼しくなるまでに寝かしておきます。
そうして9月中旬以降、ぐっと気温が下がると共に
麦の成分が徐々に変化し加工に向くものになります。
先月はサラゴッラからはじまり、
古代麦ファッロ、カッペッリ小麦と
収穫を終え、加工用の品質に安定期に入り、
いま、まさに製粉し加工するために製麺所に麦が運ばれていきました。
製麺所では新麦でパスタ加工の真っ最中です。
新麦のパスタは暮れか年明けか、その位に入荷する予定です。
楽しみです!
さて、ここからが本題です。
昨年産の最後のカッペッリ小麦で作ったペンネが9月末に届きました。
欠品中だったのでみなさんお待ちかねだったと思います。
アサクラパスタは、
以前の製麺所①から新しい製麺所②に替えてから
2年以上になりますが、
いろいろと、
トラブルが以前の製麺所①より増えたのが現状です。
だんだん製麺所②の癖(良くも悪くも)もわかってきました。
アサクラパスタは届いたロットにより、
加工時の麦の状態や製粉や湿度により、
茹で時間や茹で具合が微妙に違うので
みなさんにお出しする前には必ず社内にて、
調理し、味わい、よく見て品質や賞味期限などをその度ごとにチェックしています。
今回届いたカッペッリのペンネを何度試してみても
いつもの茹で時間8分より2分以上長く茹でないと火が通りません。
おかしいと思い、製麺所に連絡したのですが、
なかなか返事をもらえず、
そしてやっと返事がきたのですが、
乾燥機に入れる時間が少し長くなったとの返事をもらいました。
そんなバカな!
しかし人は間違う動物です。仕方ない。
今月のオルチョ通信に急いでその旨を書き、
乾燥時間がいつもより長いことによる硬さ、と説明し
30%offでペンネを販売すると告知しました。
クリスチャンの貴重なカッペッリだというのもあります。
これはいつもと同じものが、製造のミスで硬い、と判断したので、
訳アリとして販売していく、と決めました。
『茹で時間10分強、そしてよく噛んで食べてください』と通信にも書きました。
このブログにも書いて説明しシェアしなければと思っていた矢先、
きのうになって製麺所から連絡があり、
ペンネの抜型(ダイス)サイズを間違えた、と。
どっひゃ~~~
なるほど、
違う型!つまりいつものペンネではないペンネ型ダイスで抜いたペンネであった!
だから茹で時間が違った。
その訳に納得と、しかしがっくり。
ペンネにも数種の大きさや生地の厚さの違いの型があり、
今回のカッペッリのペンネはいつもとほぼ同じような形と大きさですが、
同時に入荷したファッロのペンネと比べると、
いつもより一回り小さめですが生地が少し厚く短めです。
左/いつもの古代麦ファッロのペンネ 右/問題のカッペッリ小麦のペンネ
ペンネのこんな微妙なサイズで違う型があることを知らなかった私の落ち度です。
また製麺所とのやり取りの不足と、お互いこのペンネ!という思い込みでやってしまった。
一つ一つ間違いや問題をしながら、次につなげていかなければなりませんが
このペンネの型違いは、
生地がちょっとですが分厚い為に
こんなに食感が変わるのはびっくりです。
ここで改めて
アサクラパスタについて内情を少し説明したいと思います。
①麦・小麦は指定生産者
②製粉所もこちらの指定製粉所
③製麺所
と3つに分業になっています。
これ、かなり大変です。
製麺所①の時は、それを全て流れ作業で一手に引き受けてくれていました。
生産者(クリスチャンやフィオーレ、ロベルト)は自分で製麺所に送れば終わり。
全部製麺所①が製粉からその後の運送からなにから全部やってくれていました。
いまは私が日本から指示するんです。
製麺所②は持ち込まれた粉を加工する作業しかしません。
ですから意思の疎通も製麺所①の時より薄く、
やり取りが不足していたのは反省です。
クリスチャンの農産物特に麦類は、
アサクラパスタ用に2009年からお願いして種をまいてもらっています。
時流に相応しい麦・小麦を二人で相談して
パスタ用原料の生産を増やしていき現在に至ります。
彼はその流れで生産者として自立しつつあります。
新規就農者であるクリスチャンがこのように成長していったのは
一にも二にも、クリスチャンの大地と農産物に対する
志の高さと愛情です。
クリスチャンの成長をこれからも楽しみにしている一人として
彼のつくる原料を無駄にはできない、
なにせ、クリスチャンをはじめ、
フィオーレさんの古代小麦サラゴッラ、
(※フィオーレさんは8月に天に召され息子のピエトロが継ぎました)
ロベルトさんのカッペッリ小麦、
パスタ用小麦として初めて人為的交配種として1900年代に
確立したが廃れてしまいましたがここ数年、また復活栽培され大人気の小麦、
みんなおいしいんだもんね~~
本当においしい。
そのおいしさは製粉所と製麺所の技術無しでは引き出されません。
またサラゴッラ小麦のスパゲッティが同時入荷して
流通し始めましたが、
これも以前より外皮(茶色い部分)を今までより搗き具合(外皮の取り除き)を多めにし
白っぽいセモラ(粉)に挽いたので
今迄より一般になじみのあるパスタらしい色あいのパスタになりました。
以前のサラゴッラスパゲッティに近い見た目です。
このようにいろいろと微妙にですが
アサクラパスタは変化しています。
同じものは届かないと言ってもいいかもしれません。
それは製麺所のセモラ(粉)をみての微妙な製造の調整だったり、
(今回のように間違え、だったりも!)
サラゴッラ生産者、
フィオーレさんから息子へ引き継がれたことによる変化だったり、
お客様のリクエストなどに対応するためだったり、
などなど
麦から、粉の挽き方から、パスタ型から容量から、
何から何までオーダー品であるアサクラパスタは
いろいろな変化があるパスタ、
そして変化することが出来るパスタとも言えます。
世界に一つだけのパスタともいえるこのアサクラパスタシリーズを
これらひっくるめて
楽しみながら食べていただけるとありがたいです。
購入者のご理解が必須とも言えます。
そんな中、一つ朗報が。
まだ少し先のことになるのですが、
製麺所①が復活することになりました。
いままで内緒にしておきましたが、
製麺所のメンテナンスが思いのほか時間がかかり
やっといま製麺所①の復活の目途がたち、こうやって書くことが出来ます。
低温乾燥の製麺所は本当に希少です。
低温乾燥には定義と法律がないのですが
茹でている時にわかり、ゆで上がりを見ればわかり、
そして!食べればわかります。
今の製麺所②もおいしい。
低温乾燥の良さが出ています。
その違いは長く食べていないと気づくことは難しいかもしれません、
ソースに絡んだパスタになるとわかりにくくなります。
自分で茹でて食べ、長く食べ続けているとその違いはわかります。
イタリアの生産者が手塩にかけて作ってくれた麦の加工品であるパスタ
どうぞこれからもよろしくお願いします!
カッペッリのペンネはそういうわけですこしいつもより分厚い生地の為
茹で時間が長くなり噛み応えのパスタではありますが、
成分劣化は極力少ない他のアサクラパスタと同じです。
訳アリとして30%のままでご提供したいと思いますので
どうぞこちらもよろしくお願い致します!
こちらが訳あり・カッペッリ小麦ペンネ 30%offのお品
※ラベルは簡素なものにしています