なす、みずみずし~なすが、
縮れちゃってふにゃふにゃになっちゃって
シェフは
“オリーブオイル”と“塩”と“ビネガー”と“ドライオレガノ”
たったこれだけの調味料で
想定外のなす料理を作った。
南イタリアのレストランに来たな~~~~
やっぱり、南だ!
なすと、それらの調味料を想像してほしい。
これだけで、
いったいどんな味、しかもおいしい味にできる?
無理でしょう?
なすの水分を抜いて、カラカラに縮こませたからこの味になってる!
野菜の扱いが、イタリア、特に南イタリアは違う!
とにかくシンプル!
なすが終わると
レイコ、こっちへ来いとシェフにまた呼ばれる。
次は何だろう、と思いながら
流し場には木製のトロ箱に山のように積まれた
ピンク色の鱗のちっちゃい魚が山盛りになっている。
見たことのない魚だ。
それもとんでもない量だ!
シェフに鱗を取れ、と包丁を渡され
わたしは一尾一尾鱗をこそげ落とし
シェフに渡す。
シ
ェフは
頭と内臓をあっちゅう間に取り除ききれいにしていく。
その手さばきの素早いこと美しいこと、
全く無駄がない!
しかし、三ツ星のレストランのシェフが、
こんな下処理をする?するの?え~~~
と思いながらも、
横目でチラチラ
シェフの手さばきを垣間見ながら、
魚はあれよあれよと減っていく。
シェフのペースについていくのに私必死。
しかしながら、
こんなにたくさんどうすんの!って量。
結局これを一日で消費するということを後で知ることになるのであるが、
レストランってのは、一日にすんごい量を処理するもんだ、と
なすの量に驚き、
トリッリア(ピンクのきれいな小魚/辞書にはボラとあるが日本のボラと肌色が違う)にも驚かされる。
このレストランの席数が何席あるのか?などと、
想像する余裕もなく、
言われたことを必死にやるのみ!
は~~
そんなこんなで午前中はあっという間に終わり、
賄を食べたはずだが
全く覚えていない!!!
私としたことが。
初日の賄を覚えていないだなんて!
極度の緊張と初めて見ることばかりの連続で、
記憶がない。
次号に続く