な す

かんたんな引っ越しも終え、

 

 

いざその日はきた。

出勤第一日目だ!

 

 

髪を一本に束ね、

動きやすい恰好、

 

 

遠目からコックさんたち、

 

みなさん白のコックコートにコック帽、

そして黒ズボンをはいていたので、

 

私もそれに合わせた。

 

 

コック服はさすがにないので

白いTシャツ。

 

 

これでいんだろうか、と誰に聞くわけにもいかず、

家を出て、

 

とぼとぼと歩きながら、

 

 

私はいったい厨房で何ができるんだろう。

 

 

調理人じゃないしね、

調理師免状持ってるわけでもないしね、

 

 

肉の解体はおろか、魚だっていわしぐらいしかおろせませんぜ。

やっばーーーい

 

 

自分の大胆さに恐れながらも

いや、考えない。

 

皿洗いでもいい!

 

 

レストランの中に入れるなら、皿洗いでも幸せ♥

 

あたまん中ぐるぐるしている間に

 

すぐ到着。

 

レストランまで徒歩10分。

 

 

 

裏口から厨房に入ると、

 

全員が私をばっと見る。

 

 

ひろしくんが

 

「よっ」、と笑顔で挨拶してくれてホッとするのもつかの間。

 

 

 

他10人以上のコック、

なんとひろしくん以外に日本人が3人もいるではないか!

 

 

ども~~~っと私思わずニッタリしながら声をかけると、

 

 

 

全員、無視!

 

ぜ、ん、い、ん、む、し !

 

 

にこりともしない。

 

 

あら、日本人じゃないのかね?

 

 

 

他の東洋人とはその当時は考えにくいので、

やはり日本人だったのだが、

 

ひろしくん以外、めっちゃくっちゃ感じ悪い。

 

 

 

なんで、ここに女がいるんだよ!

 

って全員の顔に書いてある(こえ~~~※怖い)

 

 

え~~~

まじですか!と恐れてる場合でもなく、

 

 

シェフが現れ、

 

笑顔で挨拶してくれ、

この前のあの電話口の感じとは全く違う。

 

 

ウエルカムムードだ。

 

ホッとしながらも緊張感はますます増す。

 

 

一通りの担当を紹介をしてくれる。

 

前菜、プリモ(パスタや米やスープ)、セコンド(メイン)・ドルチェ・チーズ・

 

オーストリア人、

オーストラリア人、

デンマーク人、

イタリア人、

日本人と、

 

国際色豊かではないか!

 

そして皿洗いの場所。

 

皿洗いは専門の人が2人いた。

 

この人たちと私は一緒か、、、、とも思いながら、

 

 

 

「何をすればいいんですか?」

 

と私が聞くと、

 

 

シェフ、「はい、なす」

 

とトロ箱に山のように積まれたなすを渡された。

 

 

 

次号に続く