海の街のおいしいもの

この民宿は、とってもアットホームで、

 

 

お客さんに常連さんが多いのが少しずつ分かってきた。

 

イタリア人も多いが、

 

外国人も結構いる。

 

 

 

ドイツ人、オーストリア人、スイス人

 

山に住む外国人が多かった。

 

 

山の人は海に、海の人は山に、

 

ヨーロッパ人はバカンスを自分にないものを求めて大移動する。

 

 

 

ここサルデーニャは海に囲まれた島(らしい)

 

そして私のいるここカブラスは海から至近距離!

 

 

特に選んだわけもないのだが、

私が滞在した農家民宿は全部海のそばだ(これは後から気づいた)

 

 

お父さんのアンジェロは

新鮮な魚介をどこからともなくから買ってきて

(そういえば、買い物には一度も同行したことがなかった。今気づいた)

 

毎日のように料理するので

 

あ~ここは本当に

海のそばなんだな~と料理で認識できた。

 

 

その中でも宿泊客が喜んだのは、

 

ボッタルガだ!

 

サルデーニャのボッタルガはイタリアでも有名だが、

このカブラス産がその本家本元だ。

 

 

ボッタルガは日本語でからすみのことで、

 

からすみが特産と聞いてまず思い出したのが、

 

 

会津の亡き父が昔~~~し、

ベロ(舌)みたいな平たい赤い珍味を買ってきて

 

大事に大事に、

うす~くスライスして熱燗のあてにしていた。

 

 

あれ!?

 

イタリア人も食べるのか!?とちょっとびっくりしたが、

カブラスのからすみは、

日本のようなしっとりしたからすみもあるが、

 

日本のものよりさらに乾いたものを削って料理に使用する。

 

 

この民宿でも、しょっちゅうボッタルガを利用し料理していた。

 

 

お蔭でSpaghetti alla bottarga(からすみのスパゲッティ)

は、私も大好きな一皿になった。

 

お父さんのアンジェロがパスタ用に削り始めると、

私、う~きう~き

 

 

今夜のパスタはボッタルガだ!

とわかるわけです。

 

わたしは、使用人にも関わらず、人目を気にせず大盛りによそって食べた。

 

 

そして驚いたのが、ボッタルガの原料となるその親の魚。

 

Mugine(ムージネ)ボラもたびたび食卓に上った。

 

 

お父さんはある日ボラを買ってきて、

 

私に見せてくれて、ほ~~~ボラってこういう姿をしているのかと初めて見た。

 

ニシン、またはこはだ寿司でお馴染みのコノシロに近いお姿。

 

 

ある日のことだった。

 

 

午睡の後の夕飯の支度にとりかかる最初に

お父さんのアンジェロが、そのムージネを焼き始めた。

 

 

その焼き方はとってもぜいたくで、

 

BQQ用のコンロに薪を燃やし燃え尽きて熾火になったところで

網で両面焼く。

 

ジュージューおいしそうだ!

 

 

 

いや~こりゃうまそう。

 

醤油かけて食べたい。

 

ついでに白いご飯もあったら最高~(涙)

 

 

焼き色が丁度良くついて、おいしそうだ!

 

 

それにしてもアンジェロ、

 

これ、焼くには早くないかい?時間的に。

 

まだ夕方の5時だよ。

 

 

 

夕飯は21時(夜の9時)からなのにもう焼いちゃって、

早すぎない?

 

 

といいつつ、

待ってなさい待ってなさい、とアンジェロは言う。

 

 

両面しっかり焼いて、

醤油あったらどんなによかろうとよだれがたら~んと

落ちそうな私を驚かせることがこの後起こった。

 

 

アンジェロが次々に焼いた魚を大皿に山盛りにし、

 

そして鍋にお湯を沸かし始めた。

耐熱バットに熱湯を注ぎ大量の塩をがばっと加え、スプーンでかき混ぜた。

 

 

なんですか、このお湯は?

とおもっていると、

 

さっきのこんがりおいしそ~にやけたムージネを

次々、そのお湯の中に入れるではないか!!!

 

 

わたし「お ー-ー まい・がー-----っ」

 

 

 

やめてやめて、やめて~~~~~と言いたかったが、

 

アンジェロまた笑いながら全部のムージネを入れちゃった!

 

 

 

え~~~~~

いったいどゆこと?

 

 

まあ見てなさいとアンジェロは理由付けをあまり言わない。

 

 

さて、夕飯の時間になり

あのムージネを出す時間がやってきた。

 

どうするのかと思ったら、

 

そうそう、イタリアは魚を焼く時に

鱗はとらない。

 

BQQも、オーブン焼きも、とにかく鱗を取らずに

加熱する、

 

そして加熱されると鱗がついているので、

ぱかっと皮がきれいに剥ける。

 

 

イタリア人は魚の皮を基本的に食べない。

 

きれいに皮を取り除き、

身だけにし皿に盛り、オーリオ(オリーブ油)とレモンで食べるのだ。

 

 

ムージネもまさにそれだった。

焼きたての熱々を塩湯に入れることにより、

塩味を染み込ませる調理方法、この地方の郷土料理だそうだ。

 

Mugine Arrosto in salamoia (ボラのロースト・塩水仕立てーとでも訳すか)

 

食べたら、淡白な白身に、

自家製のオーリオとレモンをキュッと絞り、たべると

塩味が程よく聞いており、おいしい!

 

上品なレストランの味とでも表現すればお分かりいただけるだろうか。

焼き魚が大衆向けとしたらこちらはリストランテの味。

 

 

調理法と食べ方、ところ変われば品替わるで驚かされたが

私は大衆向きの焼き魚が食べたかった~醤油で!(涙)

 

 

ちなみに、このカブラスでムージネがよくとれるのは

 

このカブラスにある湖が

海につながっている為、日本の宍道湖のような汽水域であり、

 

淡水と海水が混ざり合った微妙な海域を好むムジーナがたくさん生息しているんだそうだ。

 

 

なるほど~

ムージネ(ボラ)ってそういう魚だったんだ、とは

 

ここで知った。

 

 

しかし、ボラ自体は、とてもおいしい魚ではない(笑)

 

鯛やスズキに比べると少し泥臭いような魚だ。

 

 

 

だから、

あれは絶対、炭火焼して醤油で食べた方がうまいに決まってる。

 

 

                  次号に続く