ダイアモンドの原石

味わってみたバルバラのオイルは
残念ながらおいしくない!

これは一番の理由が
オリーブの収穫の時期を適期に一気にやっていない為。

また収穫してから搾油所に持ち込む時間が遅すぎる!

三日も経ったものを搾油所に持ち込んでいるそうだ。
これは私も何度も何箇所でも見た事があるが

小さい農家はまとまって収穫をする事が出来ない為溜めてから持っていくのだ。

これだといいオイルにはならない。

後もう一つ搾油所の環境。これも見に行ったがいい搾油所とは言いがたい。

これらの目に見えるマイナス環境を整えさえすれば味や風味はもっともっと
よくなる。
オリーブオイル自体の品質もぐっと向上すること間違い無しだ。
私は興奮気味にこのようにアントネッラにいい、

更に

‘あなた達のオイルを全部買うから、私の言うとおりに作ってくれる?‘と!
言ってしまった後でシマッタ~というのはあるが

私は後悔はしていない。

彼らの畑から感じた気持ちのいい空気、そして彼らのしていることを
支える、といったらおこがましいが
彼らのやっている事を受け入れる人、が必要なのでは、と

彼らと話しているなかで自分の中にふつふつとわいてくるものがあった。

母のアントネッラは同じように微笑みながら、

剪定にしろ、収穫にしろ、
やりたくてもやれない状態。経済的に。

マーケットさえ見つかればそれも可能だが
12年やってきてその肝心のこのオイルをほしいお客さんを見つける事が出来なかった。

私たちの生き方である自然環境を尊重した薬を使わない、化学肥料はもちろん肥料といわれるものは
一切使わない、
自然に沿った栽培で、できるオイルは限られている。

だからこそ、安くは売れない。

それ相当の値段で販売しているが、その価値をわかってくれる消費者は稀。

そしてアントネッラはこう続ける。

幼稚園の先生も、限界。

私は土と共に生きたいのよ。
今は生活の為に働いているけれど
オリーブや野菜を作って自給自足、
家をもう少し直して宿泊施設・アグリトゥリズモにもしていきたい。

そしてそこに来てくれるお客さんはもちろん自然を愛する私たちと同じような
人たちに泊まってもらいたい。
私たちの好きな人に泊まってもらいたいのよ。

この家をそうしていくのが私の今の夢よ。

そして更にこう続ける。

私は今年の初めに夢を見たのよ。

私たちにとってとても重要な人がこの家にやってくるって。

レイコ、あなただったのね。

微笑みながら抑揚をつけずにアントネッラは淡々とこう語った。

この世に偶然はないというが、
これもこうなる運命だったのか?

人の出会いって奇跡だ。

イタリアと日本、10000kmも離れてるのに
こうやって点と点が繋がって線になった!

私はアントネッラのこの‘あなただったのね‘にはちっとも驚かなかった。

運命に沿ってお互い出会うべき人だったのだと

そう心の中で思った。